AIファースト企業は、一夜にしてできあがるわけではありません。
私たちのほとんどにとって、この旅はまだ始まったばかりです。既存のテクノロジースタックや業務プロセスを持たないAIネイティブ企業でさえ、この新しい世界でどのように構築して、運用していくのか、明確な目的意識を持つ必要があります。
私はBoxのCOOとして、AIの探求を通じて得られる協働による問題解決と継続的な学習を楽しんでいます。Box社員とだけでなく、さまざまな仲間とも協力しています。私たちは皆、生成AIの世界で事業を運営することの意味を模索しており、同じ課題に直面しています。この共通の旅路に敬意を表し、BoxのAI変革の1年間の取り組みをご紹介します。試行錯誤を繰り返した戦略、犯した過ち、そしてその過程で学んだ教訓です。
Box 最高執行責任者(COO)
オリビア・ノッテボーン(Olivia Nottebohm)
主なポイント
- Box AIの道のりは、構想(「百花斉放(Let a thousand flowers bloom)」)、普遍的な教育(「社員を一人も置き去りにしない」)、本番環境への展開、そして戦略的な再設計という、明確な段階を経て進みました。それぞれの段階は、必ずしも計画通りに進んだわけではありませんでしたが、いずれも貴重な経験となりました。
- AI導入のギャップを埋めるには、トレーニングの必修化、チェンジマネージメント、そして体系的な監督が不可欠です。これらがないと、イノベーションの恩恵を受けるのはアーリーアダプターのみとなり、他の者は取り残されてしまいます。
- AIエージェントの性能は、厳選された信頼できるコンテンツの質に左右されます。そのため、ナレッジハブとコンテンツガバナンスは、あらゆる有意義なAI変革にとって不可欠な前提条件となります。
2025年春: AIエージェント効率曲線のマッピング
BoxのAIへの取り組みは、お客様との対話から始まりました。
私たちは、お客様がAIによって価値を解き放てる大きな可能性を見出しました。文書作成、画像作成、プレゼンテーションといった日々の業務において、AIを十分に活用できていないことがわかっていました。
お客様はコンテンツを積極的に活用したいと思っていましたが、その内容を把握することに苦労していました。
Box COO オリビア・ノッテボーン(Olivia Nottebohm)
長年にわたる製品ロードマップ、無数のやり取りの中に埋もれた顧客事例など、様々な要因によって、貴重な知見は失われていました。「社内文書に何が書かれているのか、正直よくわかっていない」と、多くの人が口にしていました。資産であることは分かっているけれど、そこから新たな価値を引き出す方法がわからない」と。
コンテンツは、ある程度時間をかけて作成され、何度か参照された後は、事実上、忘れ去られてしまうのが常でした。2024年を通して、Boxを利用しているお客様やBoxを検討しているお客様は「コンテンツ戦略がまったくない」から「コンテンツ戦略が必要だ」へと、そして「AIに注目すべきだろうか?」から「どこから始めればいいのだろうか?」へと意識を変えていったことがわかりました。
2025年の始まりとともに、私たちはお客様へのよりよい支援ために、自社の考え方を整理し始めました。コンテンツを活用して変革を推進するという、これまでとは異なるアプローチが必要であることは分かっていました。しかし、どうすればAIファーストをなれるのか? どのように始めればいいのか? AI投資の優先順位をどのように決めればいいのか? 私たちは独自の理論を確立する必要がありました。
最終的に、私たちはその考えをホワイトペーパー「AIファースト企業を目指して」にまとめました。これは、BoxのCEOであるアーロン・レヴィ(Aaron Levie)と私が昨春共同執筆したもので、「今からでもAIを活用したいとしたら、どうすればいいのか? 」「すでに事業をが確立している企業が、『AIファースト』へと転換できるのか?」「そもそも『AIファースト』とは?」といった、シンプルながらも重要な問いに答えるものです。
私たちの考えの基盤を築くために、AIエージェントが企業変革を最も推進する可能性が高い分野を検討するためのフレームワークを作成しました。私たちの目標は、AIの影響がより段階的におよぶ個人の生産性タスクと、テクノロジーが企業変革につながる真に価値のあるワークフローを区別することでした。私たちの理論では、人間とAIの協働が最大の成果を生み出す要因は、プロセスが繰り返される頻度と、それに必要とされる知的負担の大きさという2つの要素が最適だというものでした。
私たちは、最適なAI投資は効率曲線上、あるいはそれよりも高いレベルにあると考えました。契約管理やコードレビューのような高頻度、高負荷のタスクは、当然ながら投資対象として適切でした。

しかしながら、医薬品の研究開発(頻度は低いが複雑性が高い)や、顧客サポート、クレーム処理(頻度は高いが複雑性は低い)といったプロセスも、同様に価値を持つ可能性があります。
当時、私たちが問いかけていた1つの疑問が、「どのAIエージェントを開発するかを決定するのは誰か?」ということでした。ある意味、これは採用に関する問いでした。つまり、どのようなAIエージェントを採用し、誰がその決定を下すのか、ということです。同業他社の間では、「IT部門が新たな人事部門になるではないか?」という疑問も浮上していました。私の見解では、そうはならないでしょう。IT部門は、あらゆる企業において重要な役割を担っています。しかし、私は、各部門のリーダーこそがビジネス上の課題に最も近い立場にあり、個別のタスクに最も役立つAIエージェントを決定するのに最も適任だと考えていました。
Boxの経営陣として、私たちはエコシステム内での日々の会話の中で、こうした話題を耳にし、議論していました。Boxの最高情報責任者(CIO)のラヴィ・マリック(Ravi Malick)がITの意思決定者と話をすると、「どのようにAIファーストに取り組んでいるのですか?」とよく聞かれました。最高人事責任者(CPO)のジェス・スワンク(Jess Swank)は、BoxがAIの台頭にどのように対応しているか、どのようなスキルセットが重要視されているか、そしてそれが採用のあり方や方法にどのような影響を与えているかについて、同僚と話し合っていました。私自身も、Boxの従業員がAIを使ってどのように自分たちと業務の進め方を変革しているのか、お客様から尋ねられました。
私たちは皆、同じ関心を耳にしていたものの、その視点はそれぞれ異なっていたのです。この難題を解決するには、チームを組む必要がありました。CEOのアーロン・レヴィ(Aaron Levie)は、AIファーストがもたらす影響について常に考えていました。昨年半ばには、ラヴィ、ジェス、そして私(と、ほかの経営陣)は、それらの影響をいかに実現するかを模索し始めました。
これは、楽しくも困難な道のりになるだろうと覚悟していました。
2025年夏: 百花斉放(Let a thousand flowers bloom)
2025年半ば、私たちはBox AIを活用し、厳選したサードパーティ製AIツールを導入していました。しかし、自社開発のAIエージェントはまだ構築していませんでした。私たちが開発したフレームワークを具体的にどのように適用すればいいのか? もし、お客様が同様のことを自社で行えるようにするには、どのような手助けができるかを考えなければなりませんでした。
最終的に、私たちは、BoxのAI変革から着手することにしました。
2×2の効率曲線の背後にある概念は今でも正しいと確信していますが、まずはアイデアを形にすることが最優先だと判断しました。Boxの変革を推進するのは、日々の業務でAIを活用することに意欲を持ち、Box AIを実際に試してみることに時間を惜しまない情熱的な従業員です。
そこで私たちは、「百花斉放(Let a thousand flowers bloom)」と愛情を込めて名付けたフェーズを開始しました。Boxの社員が安全なサンドボックス環境で独自のAIエージェントを作成できるプログラムを立ち上げました。AIが、コンテンツ関連のタスクをより速く、より効率的に実行することで、煩雑な作業をどのように軽減できるのか? 最も即効性のある成果は、顧客情報、製品メッセージ、従業員ガイドラインといった機密性の高いコンテンツにAIを適用する方法を見つけることでした。Box Hubsは、2年前にリリースされており、Box社員はすでにこれを大いに活用していました。営業支援Hub、プロダクトマーケティングHub、社内規程Hubなどがありました。Box社員は、Hub内のキュレーションされた社内コンテンツから、AIで新しいコンテンツやインサイトをクエリ、発見、作成できるようになったのです。

Box社員がサンドボックス環境でAIエージェントを作成できるようにしたことで、Hubやそのほかのコンテンツから実用的なインテリジェンスを取得できるようになりました。マーケティングブログ作成エージェント、マーケティング資料編集エージェント、RFPエージェント、ユースケースエージェント、Enterprise Advancedユースケースエージェント、Box Shield Proユースケースエージェント、MEDDPICエージェント、顧客会議準備エージェント、カスタマーサクセス向けプロダクトサポートエージェントなど、さまざまな種類のAIエージェントが作成され、昨年の秋末までに97ものAIエージェントが誕生しました。実に素晴らしい成果でした。1,000以上のドキュメントに対して質問を投げかけ、正確な回答を得ることができました。コンテンツから信頼できるインテリジェンスを得ることで、真の価値を引き出すことができたのです。誰がどの情報にアクセスできるかについては、全く懸念する必要がありませんでした。AIは個々のドキュメントレベルで個人にマッピングされた権限にしたがって動作するからです。他人の業績評価や給与を他人が見てしまうといった不安は、一切ありませんでした。
この「百花斉放(Let a thousand flowers bloom)」ようなプロセスは、企業によって形は異なるでしょうが、基本的な考え方は同じです。従業員がAIを使って目の前の問題を解決できるようにするのです。たとえ比較的小さな作業であっても、従業員の創造性がもたらす影響を実感させてあげましょう。最も効率的な方法とは程遠いものでしたが、私たちは、この民主的なイノベーションと導入のアプローチを積極的に採用しました。価値のあるものとそうでないものを見極めるのは後で考えればいいのです。
2025年秋
パート1: Box社員を一人も置き去りにしない
変化は容易ではなく、AIはまさに破壊的イノベーションです。全社員が集まるミーティングで、私は挙手をお願いしました。「Box AIを試したことがある人はいますか?」 「AIエージェントを作成したことがある人はいますか?」変化の本質は予測可能なパターンを生み出すことと、私は以前にも経験していました。3分の1の人は変化を受け入れ勢いよく推進し、3分の1は中立的な立場を取り、残りの3分の1は全く関わろうとしません。
BoxでAIを民主化することで、学習格差が広がるのではないかと心配していました。一部の社員は、夜や週末にAIをいじり、仕事の進め方に関するクリエイティブな新しい方法を模索していました。一方で、AIに全く触れていない社員もいました。イノベーティブな社員はすぐに、より質の高い成果を上げられるようになるでしょう。一方で、遅れをとっている社員は取り残されてしまう危険性がありました。
全員が積極的に参加してくれるようにするにはどうすればいいのでしょうか? 8月に、私たちはBoxの全従業員にAI認定資格の取得を義務付けました。私たちは、最高技術責任者(CTO)のベン・クス(Ben Kus)に、AIの登場、生成AIの基本原則と市場動向、そしてBox AIの機能など、トレーニングの一部を収録してもらいました。

また、毎週開催しているオンライン社内ミーティング「Friday Lunch」に、AIファーストのセクションを設けました。その時間を利用して、AIエージェントを開発したBox社員のイノベーティブな取り組みを紹介しました。社員たちは、直面した課題、AIエージェントの構築方法、そしてAIエージェントがどのように業務フローを改善したかを説明してくれました。
この一連の教育活動には、2つの目標がありました。1つは、社員のプロフェッショナルな成長を支援することで社員一人ひとりの成長を促すこと。もう1つは、全員が日々の業務でAIを活用することで、Boxの未来を支えることです。
AIファースト企業になるためには、「誰一人取り残さない」という姿勢が不可欠です。この道のりは、すべての人にとってアクセスしやすいものでなければなりません。
Box COO オリビア・ノッテボーン(Olivia Nottebohm)
パート2: 規模の拡大
千の花を咲かせ、普遍的なトレーニングを強化することで、AIを活用する従業員の数が増えていきました。しかし、重要な点において、私たちの変革はまだ初期段階にありました。信頼できる情報源としてAIエージェントがクエリできるセキュアでキュレーションされたコンテンツ(これは大きな成果でした)はありましたが、 サンドボックスエージェントは、それを作成したユーザーのみが利用できるという制限がありました。Box AI Studioを使って個人でAIエージェントを作成することはできましたが、ほかの従業員と共有することはできませんでした。個人の生産性は向上しましたが、それを全社レベルで実現する必要がありました。
AIエージェントの品質を比較する仕組みも不足していました。同じようなAIエージェントを作成したり、すでにあるAIエージェントよりも劣るAIエージェントを使用したりしていました。
私たちのAI変革はかなり混沌としていました。プロセスを実運用化する必要がありましたが、時間と労力がかかるため、どのAIエージェントを優先的に開発するかを決定する必要がありました。
97のサンドボックスエージェントを精査する中で、昨春の2×2テストに立ち返り、これらの「千の花」のいくつかが効率曲線を上回る結果を示したことに喜びました。次のステップは、Boxの全社員がこれらのAIエージェントを利用できるようにすることでした。10月、小規模ながらも強力なツールチームが、AIエージェントの優先順位付けと本番環境への大規模導入のためのシンプルなプロセスを立ち上げました。
最も多くの従業員にとって役立つAIエージェントを特定するのは簡単でした。なぜなら、それらは通常、単純で繰り返し発生するタスクを処理するものだったからです。私たちはまず、それらを本番環境に導入しました。プロダクトサポートが顧客からの質問に答えるのを支援するAIエージェント、営業担当者が顧客とのミーティングを準備するのを支援するAIエージェント、そしてプロフェッショナルサービスチームがRFPに回答するのを支援するAIエージェントから着手しました。こうして、私たちは勢いよくスタートを切ったのです!
2025年冬: ついに戦略策定へ
ついに、アイデア創出、教育、そして本番展開という3つのエンジンが稼働しはじめました。これで、一息ついてより戦略的に考える時間を持つことができました。私たちは、エンタープライズシステム、ツール、戦略、そしてオペレーションのリーダーからなるコアチームを招集して、現状を把握しました。既存のAIエージェントは、当社の最大の強みを活かせるポイントに対応できているのか? 次に開発すべきAIエージェントは、誰が決定するのか?
市場開拓(GTM)部門におけるこの疑問に答えるため、GTMシステムおよびイネーブルメントチームを率いるノラ・ソーザ(Nora Soza)は、主要なプロセスとタスクに基づいて構築されたAIエージェントをマッピングしました。彼女の作業により、当社にギャップがあることが明らかになりました。
全社的な調整は重要でしたが、目的に合わせて構築されたAIエージェントは、各機能のソートリーダーや経験豊富な実運用者によって作成、検証される必要が依然としてありました。彼らは、AIエージェントのパフォーマンスの妥当性を確認し、データを検証し、ガバナンスを確認するために、IT部門と連携する必要がありました。ギャップを解決するために、2レベル下まで掘り下げることにしました。BoxのGTM部門は、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、およびオペレーションに分かれています。そして、これらの組織内には3〜4つのグループがあり、それぞれ独自のニーズを持っていました。たとえば、セールスには、SDR/OBR、営業担当者、セールスエンジニアリング、およびパートナーシップのチームがあり、それぞれが独自のAIニーズを持っていました。そして次のレベルでは、公共部門の営業担当者は、大企業の営業担当者とは異なるAIエージェントを必要としていました。
それぞれのチームのニーズを解決するさまざまなAIエージェントを設計する際に、各部門のリーダーがこれらの微妙な違いを把握しておく必要がありました。

エンジニアリング、プロダクト、GTM、人事、法務といった会社の主要業務ごとに、AIチームの設計、採用、管理を担当する機能リーダーを任命しました。GTMでは、最終的に約18のサブ機能があり、それぞれにAIマネージャーが必要となりました。その結果できたチーム(私たちはこれを「運営委員会」と呼んでいました)は、12月初旬に初めて会合を開きました。私たちは、すでに利用しているAIエージェントのリスト、機能リーダーが要望しているAIエージェント、私たちが導入を決定したAIエージェントとその理由、そしてそれらを実運用化して変革を実現するために必要なリソースについて検討しました。
AIエージェント構築のための明確なロードマップを策定できました。
Box COO オリビア・ノッテボーン(Olivia Nottebohm)
冬、私たちは非常に重要なことを学びました。それは、コンテンツキュレーションがこれまで以上に重要だということです。AIエージェントが利用するコンテンツハブが信頼できる情報源でなければ、AIエージェントは機能しません。そこで、AIリーダーたちはコンテンツキュレーターを任命する必要がありました。たとえば、PMMの責任者は、さまざまなAIエージェントが製品に関するポジショニングを正確な取得できるように、プロダクトマーケティングHubの整備しました。Hubを承認するプロセスも確立しました。キュレーションされたコンテンツに戦略的なリーダーがいること、コンテンツの所有権と最新性を確保するためのガバナンス、そして活用戦略を策定するためのフレームワークです。冬の終わりには、AIエージェントがタスクを遂行する際に頻繁に参照する主要なナレッジハブを特定し、 それぞれに担当者を割り当てました。
新年を迎えるにあたり、私たちのAI変革が、まさに現実のものとなりつつあると感じ始めました。
2026年春: 今こそすべてを再設計しよう
AIファーストの旅路が1年を過ぎましたが、私たちは依然として新たなチェンジマネージメントの課題に直面しています。今、私たちは、AIエージェントの能力に基づいて業務プロセスを再設計する必要があることを認識し始めています。

初期の事例をいくつかご紹介します。
カスタマーサポートが問い合わせに必要な情報を得るプロセスは、これまで常に非効率的でした。回答できない質問を受けたカスタマーサービスマネージャー(CSM)は、プロダクトサポート担当者に問い合わせていました。一連のやり取りはスレッドの連続となり、後から回答を探すために過去のやり取りを遡るのは困難でした。
CSMが一度回答を得た質問については、再度問い合わせる必要はないと考えました。そこで、CSM部門はサポートドキュメントをBox Hubsに集約して、AIで検索できるようにしました。今では、CSMはプロダクトサポート担当者と何度もやり取りする代わりに、ナレッジハブに問い合わせるだけで即座に回答を得ることができます。ワークフロー自体が変わりました。何千回もの問い合わせが不要になり、何時間もの時間を節約できました。
プロセス再設計のもう1つの例は、アカウントプランニングです。毎年、アカウント担当者は新しい顧客アカウントを担当し、その年に達成したい目標を策定する必要があります。
私たちは顧客について多くの情報を把握しています。既存の契約情報、経営幹部による事業レビュー、会議の議事録、通話記録などがあります。顧客フォルダには、5年分のコンテンツが蓄積されている可能性があります。アカウント担当者が20時間かけてそれらすべてを調べて、「この顧客の業種は?」 「Boxの利用目的は?」 「どんな会話を交わしたか?」 「誰と会話したか?」といった重要な質問に答える代わりに、新しいアカウントプランニングエージェントが瞬時にそれらを要約します。
現在ベータテスト中のもう1つの機能は、インダストリーエージェントです。Boxは、顧客成功事例やビジネスインパクトに関して、それぞれの業界固有の深い企業知識を有しています。これらの情報は、これまでマネージングディレクター(MD)に分散していました。そこで私たちは、これらの情報をすべてインダストリーHubに集約して、インダストリーエージェント(私たちが愛情を込めて「ポケットの中のインダストリーMD」と呼んでいるもの)を営業担当者向けに構築しました。
私たちが発見したのは、アカウントプランニングとインダストリーエージェントが、単なる効率化にとどまらないことでした。それらは、時間短縮だけでなく、品質向上にも大きく貢献することがわかりました。
この春、AIファースト企業への変革を進める中で、今後の可能性に非常に期待しています。Box AIは、より複雑なタスクに対応し、複数のナレッジハブを同時に活用してタスクを完了させ、AIエージェントがほかのAIエージェントにタスクを引き継ぐワークフローにも組み込むことができるようになりました。私たちが取り組む業務プロセスの複雑さをさらに高めていく中で、すでに構築済みのAIエージェントの能力が飛躍的に向上するでしょう。
今後も浮き沈みがあり、方向転換やスピードアップのための解決策が必要となる場面が必ず訪れるでしょう。この道のりのあらゆる段階で、AIエージェントを含む従業員の方向性を明確にし、指導し、連携を図り、教育していく必要があります。そして最終的には、AI変革は依然として人間主導の変革なのです。
私たちが学んだこと
私たちの旅路はまだ終わっていません。しかし、以前よりも確実に前進しており、日々貴重な教訓を学んでいます。特に印象に残った点をいくつかご紹介します。
予見できなかったことを学ぶには、実際に実行する必要がある
どんなに洗練されたフレームワークでも、現実との最初の接触に耐えることはできません。私たちの2×2モデルは、AIエージェントを構築して、その効果を実際に検証するまでは、単なる仮説に過ぎませんでした。
失敗は成功のもと
失敗は、次回の成功のための貴重なフィードバックループとなります。新しいAIエージェントを導入するたびに、それぞれのAIエージェントができることとできないことを学びます。できないことの中には解決可能なものもあれば、現実的ではないほど理想論的なものもあります。いずれにせよ、私たちの学びはBoxの次のイノベーションに活かされます。
AIエージェントは単なる機器ではなく、従業員である
AIエージェントには、オンボーディング、コーチング、そして継続的な管理が必要です。彼らが活用するコンテンツのキュレーションも同様に重要です。Set-it-and-forget-it(設定したらあとは放置)というやり方は、エージェント型ワークフロー設計にはふさわしくありません。
ガバナンスは必須
イノベーションを促進するには、様々なアイデアを自由に展開することが不可欠です。そして、それはセキュアかつ適切に管理された方法で実現できます(そして、そうでなければならない)。従業員、顧客、パートナーを保護しながら、イノベーションを実現できるのです。
AIエージェントには、キュレーションされたコンテンツが必要
ナレッジがどこに蓄積されているかを理解することが重要です。優れた設計のAIエージェントであっても、信頼できるコンテンツがなければ、誤った結果を返したり、完全に停止してしまう可能性があります。
最も難しいのは、人材育成
ツール開発には多くの時間が費やされますが、本当に最も重要なのは、AIに関する人材育成、業務プロセスの再設計、そして従業員による成果創出方法の見直しです。創業間もない企業は、このようなチェンジマネージメントに直面することはありません。しかし、AIファーストを目指す企業は、何よりもまず人材育成に注力する必要があります。
このブログは、Box, Inc. 公式ブログ(https://blog.box.com/)2026年3月31日付投稿の翻訳です。
著者: Olivia Nottebohm, COO, Box
原文: https://blog.box.com/coo-ai-transformation-lessons
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