ファイル共有&コラボレーションの要として
「オープン構成・6万人」でBox利用を開始!
グループ全体の「融合と連携」を強化する
- 業種:運輸・物流
- 企業規模:5,001名〜
- 課題:社外との安全なファイル共有
- 課題:情報共有の効率化・情報のサイロ化
- 課題:業務プロセスの自動化・効率化
- 製品名:Microsoft 365連携
- 製品名:Box Shuttle
- 製品名:Box Platform (API)
全従業員向けのクラウドストレージとしてBoxを利用することで、グループ全体および社外も含め、利便性と安全性を両立した情報共有やコラボレーションを促進
ストレージ容量無制限のBoxにファイルを集約することで、それまで抱えていたMicrosoft 365のストレージ使用量の肥大化とコスト増大の課題を解決
従業員の自主性を重んじるために、2019年のMicrosoft 365導入時からオープンフォルダ構成を採用。充実したセキュリティ機能がBoxでのオープン構成の実現を後押し
Microsoft Teamsのメッセージに添付されたファイルの保存先をBoxへ変更。既存の業務フローに自然に組み込みながら、社内外で共有するファイルをBoxへ集約
1987年の国鉄民営化により設立された日本最大規模の鉄道会社、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)。「モビリティ」と「生活ソリューション」の二軸を経営の柱とし、鉄道事業のほか、Suicaを活用した金融サービスや駅ナカビジネス、不動産開発、エネルギー事業など、日常生活に密着した多様なサービスを通じて地域社会の発展に貢献しています。また、グループ内外の知見やリソースを掛け合わせる「融合と連携」をキーワードに掲げ、地域課題の解決や新たなサービスの創出に取り組んでいます。
グループ全体ならびに社外との情報共有&業務連携の重要性が高まる中、JR東日本は「ストレージ容量の増加に対するコストの安定」「安全かつ柔軟なファイル共有」「Microsoft 365との親和性の高さ」を評価し、グループ全体の成長を支えるIT基盤としてBoxを採用しました。ビジョンに掲げる「融合と連携」を推進するためにBoxのフォルダ構成はオープン構成とし、従業員の利便性と情報の流通性を重視しながら、Microsoft Teamsとの統合や運用業務の自動化などを進め、活用を加速させています。

JR東日本の持続的な成長を支えるBox
JR東日本は、コロナ禍を経て経営環境が急激に変化する状況を踏まえ、新しいグループ経営ビジョンを2025年夏に発表します。それに先駆け、2025年5月には「当たり前を超えていく」というスローガンのもと、国鉄時代から続く事業運営体制や人事・賃金制度を抜本的に見直し、社員1人ひとりが主役となって活躍できる環境を整える「組織と働き方」の大変革を実施することを明らかにしました。
具体的には、国鉄時代に由来する第一線の職場、本部・支社、本社という3層構造から、職場と本部・支社を融合した事業本部と本社の2層構造とする、地域主導の36の事業本部体制に2026年から移行。また、これに伴い、職場に裁量と責任を持たせ、スピード感がある経営と人材育成を推進するとともに、グループ会社との「融合と連携」を強化し、地域課題に柔軟に対応できる体制を整備していきます。
こうしたビジョンを支える重要な情報共有&コラボレーションの基盤として、JR東日本は2024年4月にBoxの採用を決めました。
「グループ全体および社外も含めた情報共有や業務連携の重要性が年々高まっており、それを支えるIT基盤の整備が急務でした。Boxの導入は『融合と連携』を支える情報インフラとして、グループの持続的な成長を支える重要な役割を果たします」(本社イノベーション戦略本部システムマネジメントユニット・チーフ 西塚悦久氏)
ファイル共有とストレージ容量の課題を解決
Box導入以前、JR東日本では2つの課題を抱えていました。1つ目は「高まるファイル共有ニーズに伴うコスト増」です。JR東日本では2019年にMicrosoft 365を導入して社内からグループ会社、パートナー会社までのファイル共有に利用してきましたが、社外とは別の方法でやりとりをしていました。しかし、コラボレーション機会が増加する中で対応しきれない場面が増加してきたため、利便性と安全性を両立する新たなファイル共有基盤の必要性を感じていました。
また、もう1つの課題が「増え続けるストレージ容量」です。Microsoft 365を導入したことでWindowsの業務用パソコンとiPad miniでのデータ共有が可能となり、業務効率化や働き方改革は進んだものの、Microsoft 365のクラウドストレージ使用量が前年比1.35倍程度で毎年増加。このような状況下では従量課金型のストレージを維持し続けるのが難しく、数年後にはさらにコスト増となるため、データ整理を行って一時的に容量を減らすのでなく、根本的な解決策が必要でした。
そこでJR東日本は新たなファイル共有ストレージ基盤の検討を開始。3つの要件を満たすソリューションとしてBoxを選定しました。
- 社外との安全かつ柔軟なファイル共有が可能であること
- ストレージ容量の増加に対してコストが安定していること
- Microsoft 365との親和性が高く、既存の業務フローに自然に組み込めること
そして2024年4月にEnterpriseプランに「Box Governance」のオプションを付与する形でBoxの導入を決定したあと、2024年9月頃までに設計や構築を行い、2024年10月頃から移行準備を開始。従業員にBoxの操作感に慣れてもらうことを最優先し、SharePoint Online(以下、SharePoint)からのデータ移行に先駆けて、約6万人の全従業員(社員、出向社員、派遣社員を含む)の本格運用を2025年1月からスタートさせました。
「Box導入後は順調に利用者数が増加し、約3ヵ月程度で以前のSharePointと同じくらいの利用者数に達しました。また、並行してSharePointからのデータ移行を進め、約半年で400TBほどの移行を完了しました。このように順調に導入が進められたのは、Boxの使い勝手の良さのおかげです」(西塚氏)

Boxのフォルダ構造は「オープン構成」に
Box導入に際してJR東日本で多くの時間をかけたのが、グループ内外の情報共有の効率性とセキュリティを両立させるための「フォルダ構成」の検討です。Boxのフォルダ構成には、ユーザーによるルートレベルのフォルダ作成やコラボレータの招待、ファイルの共有をデフォルトで可能とする「オープンフォルダ分類法」(オープン構成)と、管理者がフォルダ構成や権限を管理する「クローズドフォルダ分類法」(クローズド構成)があります。
日本国内ではクローズド構成を採用する企業が多い中、JR東日本はオープン構成を採用しました。その理由は「グループ全体で融合と連携を推進する」というミッションを掲げることから、情報の流通性を高めることに重きを置き、ファイル共有の利便性を重視するため。また、Microsoft 365導入時からオープン構成を一部採用し、社内のファイル共有に関しては従業員側で自由にアクセス権限を設定できるようにしていたことも理由に挙げられます。Boxはユーザーアクティビティの追跡が管理者・利用者側で行え、フォルダ共有の自動解除やフォルダへのコラボレータ招待の制限などのセキュリティ強化機能が充実していたこともオープン構成を後押しする要因になったと言います。
ただし、「制約は最小限に」を基本としながらも最低限のコントロールは行っています。たとえば、Boxアカウントを保持しない人とファイル共有を行う際は「共有リンク」の設定を閲覧のみ可にして、ダウンロードを不可に。ユーザーアクティビティのログを見たときに、IPアドレスはわかるもののユーザー名までは特定できないためです。また、公開共有リンクの有効期限は10日に設定。ファイルの編集を行う場合はコラボレータとして招待し、Boxのアカウントを作ってログが取れるような形でファイル共有をしてもらう運用にしています。さらに、誰をコラボレータとして招待するかの判断は従業員に委ねているものの、メールドメインを登録制にして、フリーアドレスの相手は招待できないように制限しています。
Teams統合やグループ全体活用を進める
Boxの活用をさらに促進するために、JR東日本ではさまざまな取り組みを進めています。その1つに挙げられるのが「Microsoft Teams」(以下、Teams)との統合です。
「Teamsが社内および関連会社との間のコラボレーションツールとして深く浸透しているため、Box for Microsoft Teamsの存在がBoxを導入する大きな決め手となりました。Box for Microsoft Teamsを利用すれば、Teamsの画面上でBoxのファイルやフォルダを操作したり、ファイルへのアクセス権限をBoxとTeams間で自動的にマッピングしたりできるのでとても便利です」(本社イノベーション戦略本部システムマネジメントユニット・副長 菅澤学氏)
通常Teamsのメッセージに添付されたファイルはOneDrive for BusinessもしくはSharePointのサイトのフォルダに保存されますが、JR東日本では2025年7月からその保存先をBoxへ変更し、社内外で共有するファイルをBoxへ集約させていきます。

また、今後は「融合と連携」を促進するためにグループ全体でのBox活用も図っていきます。そのために現在行っているのが、シャドーITの抑制です。Boxには無料で10GBのストレージが付いたIndividual(個人向け)プランが存在しますが、イベントなどに参加し、ファイル共有を受けるために個人アカウントを作成していた従業員が数多く存在していたのです。JR東日本グループ全体でBoxを活用し始めると、同様に関連会社にもIndividualプランの管理対象外ユーザーが一気に増えることが予想されるため、関連会社に個社のBoxテナントを導入してもらったり、グループ会社共通のテナントを作成してその中に管理対象ユーザーとして取り込んだりする対策を行っていきます。これによりグループ全体だけでなく、取引先との間でもBoxでファイル共有できる環境を整える予定です。
さらに、運用業務の自動化にも取り組んでいます。ユーザーの作成や削除、人事異動に伴うグループの付け替えといった日々の運用業務はBoxの管理ツールを活用して負担軽減を図るとともに、そこでカバーできない日々の細かい保守作業に関してはMicrosoftのワークフロー自動化サービス「Power Automate」を活用。たとえば、Microsoft Teamsのチャットメッセージに添付したファイルを保存するBoxフォルダに誤ってコラボレータを招待してしまった場合、チャットメンバーでなくてもフォルダ内のファイルにアクセスできてしまいます。そこで誤ってコラボレータを招待されたフォルダに対してはPower Automate経由でBox APIにHTTPリクエストを送ることでコラボレータを自動で削除し、社内の情報流出を防ぐようにしています。
JR東日本では現在1600TBほどあるSharePointのデータのうち、1000TB程度をBoxへ移行する予定です。2020~2021年にファイルサーバーからSharePointへデータを移行したときのスコープは400TBでしたが、今回はその2倍以上の容量。また以前と異なり、オープン構成からオープン構成への移行となるため、サイト管理者ならびに利用者もSharePoint内のフォルダのアクセス権を完全に掌握できていないという課題があります。もちろん、情報システム部側で権限設定は確認できるものの、すべてのサイトで行うのは工数的に非現実的。そこで移行先となるBoxのフォルダへの権限付与は、従業員側に招待が必要なユーザーやグループなどの権限を教えてもらい、そこに権限をつけていく形をとりました。実際の移行作業にはBox純正の移行ツールである「Box Shuttle」を利用し、1週間に15TBのペースで移行作業は順調に進んでいます。
「Box Shuttleを使った移行よりも、SharePointからファイルを削除することのほうが大変です。移行が完了したサイトを丸ごと削除できればいいのですが、サイトのファイルやフォルダが他のアプリの参照先になっているケースがあり、それを削除すると影響が出てしまいます。また、ライブラリ内のファイルが数十万や数百万あり、さらにフォルダの同じ階層に数万のファイルが並んでいるケースもあって削除操作が反映しないケースもあります。そのため時間がかかりますが、2026年までを目安に作業を進めていく予定です」(菅澤氏)
Boxを実際に利用してみて驚かされたのが、製品フィードバックをBox製品チームに直接送ることができる「Box Pulse」だったそうです。このサイトを利用すれば自社が抱える要望や問題を送信できるほか、世界中のユーザーの投稿を検索して、賛同するものには「Vote」ボタンを押して投票することが可能。そして、投票が十分に集まった提案は、製品開発のための調査や検討が行われ、実際に機能実装されるものもあります。
「『On Roadmap』と表示されていると、ロードマップに入り取り組みが開始されていることがわかります。ユーザーと製品開発チームがとても近い点がBoxの素晴らしい点です。今後、弊社でもBoxをさらに便利に活用するための要望をBox Pulseに投稿していきたいです」(菅澤氏)
※このページに記載された情報は、2025年6月現在のものです。