従来の校内サーバー利用料とほぼ同額のランニングコストで校務のクラウド化を実現。Boxは容量無制限のため、校内サーバーの膨大なデータを容量を気にすることなく移行完了
校務系データはすべてBoxで作成・管理。学習系と校務系システムを完全に分離することで、校務の重要なデータが誤って児童生徒に共有されてしまうリスクを排除
Boxのセキュリティ機能を活用して安全性の高い情報管理を実現。教職員が安心して職務に専念できるように
職員室内でのみ行っていた校務を、端末を持ち出して出張先や緊急時でも安全に実施。ファイル共有や共同編集で業務を効率化
高岡市は、富山県北西部に位置する県内第2の都市。日本海に面した港町として発展し、国宝・瑞龍寺や高岡銅器、高岡漆器など、歴史と伝統文化が今も色濃く息づくまちとして知られます。高岡市教育委員会では、市内の小中学校を所管し、学校教育や教育環境の整備など幅広い施策を推進。近年は教育DXやICT活用をはじめ、次代を担う人材育成に向けた取り組みにも注力しています。
高岡市教育委員会では、校内サーバー中心の校務環境に起因するさまざまな課題を解決するため、校務のクラウド化を推進しました。学習系と校務系を分離した設計のもと、校務データの管理基盤としてBoxを採用。フォルダ構成や権限管理を教育委員会主導で統一することで、全校共通の安全で扱いやすい校務環境を構築しました。現在は、教職員が場所を選ばずに校務を行えるようになり、情報漏洩リスクの低減と業務効率化を両立。教職員の働き方を変える校務DXを実現し、「高岡モデル」として全国から注目されています。
左から、高岡市教育委員会 教育総務課 施設管理係 主事 表野春香様
GIGAスクール支援センター 川辺勝治様
高岡市が進めた学習と校務のICT改革
かつて富山県内でもっともICT化が遅れていると言われていた高岡市教育委員会は、2018年に慶應義塾大学SFC研究所との「クラウド等を活用した教育ICT環境整備に関する調査研究事業」を開始して以降、ICT教育を積極的に推進してきました。2020年のGIGAスクール構想第1期では「安全で安心なクラウド環境をリーズナブルなコストで構築する」ことを基本方針に市独自の工夫を盛り込み、1人1台端末の導入と併せて、「下り300Mbps以上の高速校内ネットワーク整備」「Microsoft 365を活用した安全な学習環境構築」「キッティング費用を発生させない安価な端末調達」を実現。人口17万人弱の市内の小中学校に国内屈指の学びの環境と、全国の他の市町村が追従できるような先進的な教育ICTの仕組みを作り上げることに成功しました。
「学習のクラウド化」実現後は、文部科学省が推進するクラウド・バイ・デフォルトの原則に則り、「校務のクラウド化」にもいち早く着手。職員室の固定端末からオンプレミスの校内サーバーへアクセスし、学校内からのみ利用可能という従来型の校務環境が抱えていた課題の解消に取り組みました。
「当時は、人事異動のたびに学校ごとに異なるサーバー構成への対応が必要であったことや、在宅で校務が行えない働き方、他自治体での不正侵入事案を受けたセキュリティ不安、Microsoft 365導入後の校務データと学習データの混在リスクなど、複数の課題が存在していました」(GIGAスクール支援センター 川辺勝治氏)
こうした背景から、高岡市教育委員会では校内サーバーや校務用PCのリース契約終了を好機と捉え、「市内共通の統合型校務支援システム導入による校務の合理化」「在宅でも校務を行える安全な校務用ネットワークの導入」「校内サーバーの廃止による財政負担の軽減」を3つの柱に、2021年10月頃から校務のクラウド化の検討を開始しました。そして2022年9月に文部科学省の教育情報セキュリティポリシーのガイドラインに準拠した「高岡市教育情報セキュリティ管理基準」を策定し、同年10月に導入業者を選定。わずか3ヵ月で文部科学省教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインが示す強固なアクセス制御を確保したIaaS上に校務系システムを構築し、2023年4月より本格運用を開始しました。
校務系ストレージにBoxを選んだ理由
この校務系システムに、統合型校務支援システムやID認証サービスと併せて採用したのがBoxです。従来の校内サーバーに代わり、校務データを一元管理するストレージとしてBoxを選定した理由は大きく4つあります。
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コスト: 他の地方都市と同様に財政的に厳しい状況の中で、校内サーバー利用料とほぼ同額のランニングコストでクラウド化を実現できる点を評価しました。
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セキュリティ: Boxは高度なセキュリティ機能を有しており、高岡市の教育情報セキュリティ管理基準を満たしていたことから、安心して導入できました。
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容量無制限: 校内サーバー刷新にあたり、各学校に約1TBあったデータ資産を約300GBに削減してもらう計画でしたが、整理の時間を確保できない学校もありました。そのため、すべてのデータをそのままクラウドへ移行できる「容量無制限」という特長は、導入判断において非常に重要でした。
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組織的な統制: 校内サーバーでは統一管理が難しかったフォルダ構成やアクセス権限を、Boxでは教育委員会主導で統一できます。職種や役割に応じた権限設定により、必要な人だけが必要な情報にアクセスできる環境を構築できる点が、採用の決め手となりました。
学習系と校務系を分けた堅牢なセキュリティ
高岡市教育委員会では、学習系システムと校務系システムを明確に分離し、学習系データはOneDrive(現在はGoogleドライブ)、校務系データはBoxに保存しています。これは、学習系データと校務系データを統合して活用することにはリスクがあると判断したためです。
「教職員誰もが児童生徒に閲覧させてはならないファイルの存在を理解していますが、操作ミスにより誤って児童生徒のグループに共有してしまう可能性があります。そこで、システムを完全に分離することで、校務の重要なデータが誤って共有されるリスクを排除しました」(川辺氏)
重要性分類Ⅰ類およびⅡ類のデータは学習系システムへの移動を不可とし、校務系データはすべてBox上で作成・管理しています。重要性分類Ⅲ類およびⅣ類のデータについては学習系システムへの移動を許可していますが、個人情報が含まれていないかを確認したうえで、教頭やGIGAスクール担当者など複数人を管理者として設定したClassroomのみに移動先を限定することで管理を徹底しています。
Boxのフォルダ構成は、管理者のみがルートレベルにファイルやフォルダを作成可能な「クローズドフォルダ構成」を採用し、セキュリティを重視した設計としています。市内33校それぞれの専用フォルダを設け、その配下に所属教職員のみ利用できる共有フォルダと個人フォルダ(校長・教頭は閲覧可/編集不可)を配置。さらに校長、教頭、教務主任、生徒指導主事、特別支援教育、保健、給食、事務、情報という、特定の教職員のみアクセス可能な9つのフォルダを設け、それらに対してはコラボレータを限定することで高いレベルの情報管理を実現しています。
BoxへのログインはIDとパスワードに加えて端末証明書による二要素認証を必須として他の端末からアクセスできないようにしたり、端末を校外へ持ち出して利用する際は「Box Driveをログアウトして端末からデータを消去し、校務を行う場所で再ログインして利用する」という運用にしたり、外部ユーザーとのファイル共有を不可にすることで情報漏洩のリスクを低減。さらに、意図しないフォルダを教職員が作成できないようにすることでデータの散在を防止しています。
この結果、どの学校でも基本的なフォルダ構成は変わらず、教職員が他校に異動しても違和感なく利用できるようなったほか、個人フォルダに保存した教材等をそのまま異動先の学校で利用できるという利便性が生まれました。
Boxがもたらした教育現場の働き方DX
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Boxを活用した校務のクラウド化により、教育現場にはさまざまなメリットがもたらされました。中でも大きな効果として挙げられるのが、教職員が場所を選ばずに校務を行えるようになった点です。従来のように学習指導はコンピュータ室の専用端末、校務は職員室の端末といった使い分けをする必要がなくなり、1台の端末で学習指導と校務の両方が可能に。また、端末の持ち出しが可能となったことで、出張先や自宅においても秘匿性の高い情報を安全に扱えるようになりました。
教職員が安心して校務を行えるようになったのも重要なポイントです。校務をすべてBox上で行っていれば児童生徒への情報漏洩の心配がなく、特定の教職員のみ共有したいデータは9つのフォルダで管理すれば安心です。さらに、外部への情報共有はできないため、仮にデータを見失ったとしても校内のBoxのどこかに必ず存在します。こうした点は、特にPCの扱いがあまり得意でない教職員にとって大きな安心感につながっています。
「Box Driveはエクスプローラと同じ感覚でストレスなく操作できますし、Box Driveをログアウトすれば端末からデータが消去されます。Chromebookへの移行に伴い、今後はBoxのWeb版を利用していきますが、BoxのWeb版は統合型校務支援システムと同様にWebブラウザ上で操作できるため違和感がありません。」(教育総務課 施設管理係 主事 表野春香氏)
もう1つ忘れてならないのが、業務の効率化です。Boxの導入によりファイル共有が容易になっただけでなく、学校行事などのイベント企画時には、機密情報を扱うBox上でファイルを複数人で同時編集できるため、作業を効率的に進められるようになりました。校長と教頭のみがアクセス可能な「学校共有」フォルダ(市内の各学校間の情報共有に利用)や「市教委共有」フォルダ(教育委員会と各学校の情報共有に利用)をBox内に設けたことで、USBメモリやメール、紙などでやりとりすることなく、学力調査の統計データや授業研究校の学習指導案など学校間で共有したいファイルや、教育委員会からのお伝え事項を素早く安心して受け渡すことも可能になりました。
「教職員の時間外勤務時間の変遷を5〜6年見てきましたが、2023年4月以来、クラウド化した当初はやや上がったものの、その後は毎年すべての月で前年同月よりも減っています」(川辺氏)
そのほかの導入メリットとしては、校務データ増大への対応も挙げられます。現在利用しているストレージ容量は21.7TB(1校平均658GB)に達しており、従来の校内サーバーであれば費用をかけて容量増を検討しなければならない状況でした。しかし、現在はその心配はありません。これまでは、教職員が容量を心配しながら保管していましたが、今は容量の大きい写真や動画も含めて安心して保存できるようになっています。
かつては統合型校務支援システムを導入しておらず、教育ICT化で後れを取っていた高岡市教育委員会。しかし、「学習のクラウド化」に続き、地方都市の財政事情に配慮しながら、セキュリティの向上と校務の合理化を両立させた実践的な「校務のクラウド化」を実現しました。
この取り組みは文部科学省の会議でも事例として紹介され、「高岡モデル」として知られるようになり、現在では全国の自治体や学校で参考にされています。すでに教職員がBox AIを利用できる環境を整えており、資料の要約や情報抽出、コンテンツ生成などを通じて、学校現場におけるさまざまな業務の効率化に加え、学習の質の向上にも寄与することが期待されています。
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