日置電機株式会社様は、グローバル市場への拡大を急速に広げています。従来は日本本社のオンプレファイルサーバーを中心に情報共有を行っていましたが、グローバル拠点からのアクセスには、速度やセキュリティ面で課題がありました。
そこでグローバルに展開して、特定のネットワークによらず利用でき、かつ堅牢なセキュリティを持つBoxを採用しました。どのように課題を解消したのか、今後どのような展望を持っているのかを講演いただきました。
日置電機株式会社 グローバルDX推進部 ネットワークグループリーダー 舩原一平様
日置電機株式会社様(以下、日置電機様) は、創業90周年を迎えた電気計測器の専業メーカーです。本社は長野県上田市に置かれ、商品企画・開発・製造のすべての機能を本社に集約することで、スピーディーな商品展開を実現しています。
電気計測の分野では世界に通用する技術と商品を持ち、特に電力品質アナライザーやバッテリー試験機、電流センサーなどはグローバル競争力を持つ製品群として高く評価されています。近年では、AIデータセンターのコミッショニング試験という新たなアプリケーション領域でも存在感を発揮しており、24時間365日の安定稼働が求められるデータセンターの電源品質測定に同社の製品が活用されています。
グループ一体経営に向けた課題
日置電機様の海外売上比率は年々上昇しており、直近の年次報告書では売上の63%がグローバルとなっています。2030年までにこれを75%に引き上げることを目標に、海外販売会社を次々と設立(現在11社)し、グローバル展開を加速させています。
しかし、急速なグローバル化に伴い、「グローバル企業としての業務形態やシステムをどう整えるか」という課題が浮上しました。グローバルDX推進部 ネットワークグループリーダーの舩原一平様は「グローバル企業として成長してきたわけではなく、ここ最近突然グローバルに広がってきました」と率直に語り、グループ一体経営の確立が急務であることを強調しました。
具体的な課題は、以下の通りです。
- グローバル市場から得た顧客情報・案件情報を迅速に本社と共有したい
- 本社が持つナレッジ・技術情報をグローバル拠点に効率よく展開したい
- 顧客情報や未公開技術は厳重に管理しなければならない
- 従来の境界型防御(ファイアウォール+VPN)では、グローバル展開に伴う運用負荷が増大し、管理が困難になっていた

特にファイル管理の面では、業務に関わる大半の情報が本社のファイルサーバーに集中しており、海外勤務やリモート勤務の社員はVPN経由でのアクセスか、本社の同僚にメールでファイルを送ってもらうという非効率な運用を余儀なくされていました。
Box導入の経緯と要件
こうした課題を解決するため、日置電機様はゼロトラストセキュリティモデルへの移行を決断。その中核として、ファイルコンテンツの一元管理基盤にBoxを採用しました。

導入にあたっての要件は、以下の通りです。
- 中国での利用が可能であること(売上の約3割を占める中国拠点への対応)
- シングルサインオン(SSO)が利用できること
- 柔軟な権限管理ができること
- バックアップ・データ復元の運用負担が軽いこと
- ランサムウェアへの耐性があること
- PCアプリでの業務が継続できること
2026年4月より、本社の主要ファイルサーバー2台に格納されていた約1,000万ファイル、20TBのデータをBoxへ移行し、運用を開始。講演当日時点で運用開始から約3ヶ月が経過しました。
Boxを導入して良かったこと
中国からの利用を実現
日置電機様にとって最大の懸念事項の一つが、中国拠点での利用可否でした。
中国には「グレートファイアウォール(金盾)」をはじめとする独自のIT規制があり、多くのグローバルサービスが利用できません。「Boxも通常のプランだと中国からは使えないと聞いていました」と舩原様。しかし、Box Verified Enterpriseを利用することで、中国からでもBoxが利用可能となりました。
「実際に中国からも利用できており、情報共有が非常に便利になりました」と効果を実感。EUなど個人情報保護規制が厳しい国向けには、Box Zonesのデータレジデンシー機能(Boxのデータを指定国・地域内に保管する仕組み)が有効であることも確認しています。
データ保護とランサムウェア対策
Boxはストレージ容量が無制限で、バージョン管理も世代無制限にできます。操作ミスによる更新・削除は、利用者自身で容易に復元可能です。さらに、ランサムウェアや管理者アカウントの不正アクセスによって完全削除された場合でも、14日以内であればBoxサポートへの依頼で復元が可能。「業務データが完全に失われるリスクが非常に小さいということは、大きな安心材料になりました」と、舩原様は語りました。

比較検討したMicrosoft OneDriveは「バックアップは自分でやってください。そのためのソリューションは用意しますが、自社の責任で運用ください」という回答だったので、この点でもBoxが優位と判断しました。
ファイル管理の抜本的な改善
Box導入により、本社の多数のファイルサーバーを廃止。「ほぼすべてのファイルはBoxの中にあるので、情報を探すときにとりあえずBoxで検索すればOK」という状態を実現しました。権限管理もトップ階層以下を共同管理者に移譲する仕組みを活用することで、管理と運用負担のバランスを取ることができています。
「全グループ社員が『Boxの使い方がわかればファイル管理はOK』という状態が作れました」と舩原様。グループ一体経営の主要な情報共有基盤として、Boxが確実に機能し始めています。
今後のBox活用に向けて
舩原様は今後の展望として、以下の3点を挙げました。
- ファイルサーバーの全面移行: 本社・海外拠点に残存するファイルサーバーを可能な限りBoxへ移行し、グループ全体での情報基盤を完成させる
- AIサービスとの連携: 利用中のSaaSとBoxの連携を進め、特にAIサービスの情報源としてBoxを活用できる環境を整備する
- Box Shieldによる発見的統制: 過去に個人情報リストが社内とはいえ権限の緩いファイルサーバーに置かれてしまった事例を踏まえ、Box Shieldを活用してセキュリティインシデントを早期発見・対処できる体制を構築する
「Boxの利用はまだ始まったばかりですが、今後グローバルでの情報基盤として使いこなしていきたい」と締めくくった舩原様。グローバル展開を加速させる日置電機様の挑戦は、まさに始まったばかりです。

創業90周年を迎えた電気計測器の専業メーカーである日置電機様が、急速なグローバル展開の中でいかにBoxを活用して情報共有基盤を構築してきたかを、成功事例を交えて語っていただきました。
「便利さと安全さを兼ね備えた情報基盤」というテーマのもと、Box Verified Enterpriseによる中国対応、無制限のストレージとバージョン管理によるデータ保護、そしてグループ全体でのセキュリティレベルの統一という成果は、グローバル展開を目指す多くの企業にとって示唆に富む内容でした。
本セッションの全編は、BoxWorks Osaka 2026のサイトでアーカイブ視聴いただけます。(8月3日~8月31日)
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