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BoxとRPAで年間1,000時間を削減!老舗食品メーカー 井村屋様が推進する「攻めと守り」のDXとAI活用

BoxWorks Osaka 2026 イベントレポート

 公開日:2026.08.03  Box Japan

これまで約5年間、DX戦略プロジェクトとして、現場主体で取り組みを進められる体制づくりを進めてきた井村屋グループ株式会社様。2025年度からは、この土台を生かし、AI活用を軸に現場起点の業務変革に向けた取り組みに重点を移しています。

AIを使ってすごいことをした話ではなく、AIを活用するために弊社がどう取り組んできたか、そのリアルをお伝えしたい」という言葉から始まった本セッションは、中堅食品メーカーのDXAI活用のリアルな歩みを余すところなく伝える内容となりました。

TK1_6926井村屋グループ株式会社 デジタル戦略室 課長 山崎光一様

井村屋グループ株式会社様(以下、井村屋グループ様)は、三重県津市に本社を置く食品メーカーです。1896年創業、1947年設立。グループ連結従業員数は約964名、2025年度売上高は約537億円。「おいしいの笑顔をつくる」をミッションに、ようかん、あずきバー、肉まん、あんまんなど幅広い事業を展開しています。

経営の根幹には、「特色経営(他社の真似をしない独自性の追求)」 「不易流行(伝統を守りながら時代の変化に柔軟に対応する)」 という2つの考え方が浸透しており、現在は中期経営計画「Value Innovation 2026」の最終年度を迎えています。

2024年にはBox Customer Award Japan 中小企業部門で優勝を果たし、DXへの取り組みが高く評価されました。さらに2026年には、船井総研ホールディングス主催「サステナグロースカンパニーアワード2026」において、約12,000社の中から最高賞である大賞を受賞。DXへの取り組みも審査に含まれており、Box活用もその評価に貢献したと、デジタル戦略室 課長の山崎光一様は語られました。

これまでのDX推進 ― 3つのフェーズ

井村屋グループ様のDX推進は、大きく3つのフェーズで進められてきました。

  1. 生産性向上(2017〜2020年): Box導入・ペーパーレス化・クラウド推進
  2. DX戦略(2020〜2024年): kintoneRPAを活用した内製化・市民開発
  3. AI活用(2025年〜): 生成AI・需要予測・データ統合基盤

山崎様は「段階的に進めたからこそ、AIを活かせる土台が出来始めている」と言います2017年のBox導入を起点に、クラウド化・内製化・市民開発を着実に積み上げ、現在のAI活用フェーズへとつながっています。

今年度からは、DX戦略プロジェクトを発展させ、DX推進委員会として継続的な活動体制を整備。「攻め」のDX推進委員会と「守り」のBCP活動推進委員会の2軸で活動を進めています。現場課題の解決だけでなく、業務の棚卸しを行い、どの業務をAIに任せられるかを現場と連携しながら検討していく方針です。

Boxユースケース ― 2017年から2025年の歩み

ユースケース① 伝統と技術の継承プラットフォーム

Box導入当初は、テクニカルプラットフォームとしてあらゆる情報をBoxに集約。広報部門からの共有リンク発信でBoxの認知を広め、モバイル(iPad、iPhone)や複合機の刷新と合わせて活用を促進しました。工場内ではQRコード化されたマニュアルとして活用するなど、現場に根付いた使い方が広がっています。

1A-4_井村屋グループ株式会社_井村屋グループAI活用へのシフト 1

ユースケース② 外部コラボレーションによる生産性向上

外部コラボレーション100社増加を目標に生産性向上を推進。社内託児所の様子をLINE WORKSと連携して保護者に配信したり、ペーパーレス会議システムや全社企画でのデータ収集にBoxを活用するなど、多様な場面でBoxが活躍しています。

1A-4_井村屋グループ株式会社_井村屋グループAI活用へのシフト 2

ユースケース③ セキュリティ・ガバナンス強化

Boxの活用が進むにつれ、Box Shieldを活用した情報漏洩対策や、電子帳簿保存法対応のための連携システム開発も実施。さらに、Box AutomateBox Hubsを組み合わせた社内コンテスト運営の自動化など、高度な活用へと発展しています。

1A-4_井村屋グループ株式会社_井村屋グループAI活用へのシフト 3

2025年度のユースケース一例として、RPABoxの連携により、契約倉庫への出庫予定通知の完全自動化を実現。これまでメールやFAXで行っていた手作業が一切なくなったのこと。これらの現場事例により、年間約1,000時間の業務削減効果を達成しました。

井村屋グループ様のそのほかの事例

AIへの取り組み ― 生成AI教育からワークショップまで

生成AIの急速な普及を受け、井村屋グループ様では202412月頃から本格的なAI推進活動を開始。まず取り組んだのが、役員・上位層への説明会です。

「これまでは自分たちで説明会を行うことが多かったのですが、今回からは外部のAI専門企業に講演してもらう方式にしました」と山崎様。第三者の視点でAIの現状と将来性をわかりやすく伝えることで、トップダウンでのAI推進力を確保しました。

井村屋グループ様では、生成AI基盤として以下の3つを整備・公開しています。

  1. 自社独自AILibreChat: 高速応答・インターネット検索・画像生成・アシスタントカスタマイズ
  2. Box AI: 蓄積コンテンツへのAI活用・文書要約
  3. Zoom AI Companion: 会議議事録・メール・チャット要約

2025年上期はプロンプト講習などの勉強会を実施。下期からは半年間にわたる生成AIワークショップを毎月開催し、約40名の参加者が現場での活用事例を発表し合いました。ワークショップでは、生産部門がホワイトボードのマグネット運用をWebアプリ化したり、営業部門がロールプレイできるAI上司を作成するなど、現場発のユニークな活用事例が次々と生まれました。2026年度も第2回ワークショップを継続開催中です。

Box AIの現場活用事例

事例① IMURAYA MALAYSIA スタッフ契約書への活用

マレーシアへの出向社員が、専門的な英文契約書の理解にBox AIを活用。専門性の高い英単語の理解向上や、弁護士への相談時間・作業時間の大幅な短縮を実現しました。

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事例② 原材料調達部門 ― 受注FAX × RPAとの連携

FAXで届く注文書(PDF)をBoxに格納し、Box AIで考え抜かれたプロンプトを実行することで、RPAが読み取れるExcel形式に自動整形。RPAが生産システムへ自動入力する仕組みを構築しました。「今まで手打ちだった作業をAIが読み取るようになりました」と山崎様。今後はBox APIでの連携強化も予定しています。

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事例③ 管理部門 ― 工場見学Q&A対応

三重県本社の工場では地域の小学生を対象に工場見学を開催。見学中のさまざまな質問に対応するため、Box Hubsに関連資料を集約し、Box AIで回答を抽出する仕組みを導入。時間短縮と回答の一貫性を同時に実現しました。

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「2025年の崖」への対応 ― Box AIが引き継ぎを担う

井村屋グループ様では基幹システムの老朽化が進んでおり、「2025年の崖」に直面。今年度は販売システムの再構築を進めており、要件定義フェーズを完了したところです。山崎様自身、情報インフラ系から基幹業務系のマネージャーへ異動となり、「業務が分からないIT部門、システムが分からない業務部門、当時の担当者がいなくなったベンダー、これらの打ち合わせでは空中戦が繰り広げられていました」と、当時の苦労を率直に語られました。

この課題に対し、山崎様が活用したのがBox AIとの「壁打ち」です。Zoomの文字起こし機能(オンライン・対面ともに対応)で打ち合わせ内容を記録し、ベンダー提出の議事録や既存システムのマニュアルとともに1つのBoxフォルダに集約。Box AIに対して「時系列で整理して」「機能別に分類して」「中学生でもわかる言葉で書き出して」などと指示することで、複雑な要件定義を着実に理解していきました。

「現在、基幹系業務の刷新において、引き継ぎはAIにしてもらえる、そういう感覚があります」と山崎様。蓄積されたコンテンツと会議の会話記録が一体となった基盤が整ったことで、「これがなかった時代のことを考えると、自身の理解のスピードが格段に上がっていると感じています」と語られました。

AI需要予測プロジェクト ― 機械学習AIの挑戦

DX戦略プロジェクトから発展した需給管理システム導入・SCM標準化プロジェクトと並行して、AIベンチャー企業の支援を受けながらAI需要予測の技術検証を実施。対象は季節性が大きく賞味期限の短い「チルドまん(肉まん)カテゴリ」の翌日出荷数予測です。

課題は、予測業務が担当者の経験と勘に依存し、Excelの属人化により毎日約2時間の作業が発生していたことでした。

販売実績・定番特売データ・気象データを組み合わせ、Amazon SageMaker Canvasを活用したAI予測を構築。予測結果はBoxに返し、現場が使い慣れたExcel形式で受け取れる設計としました。

システム構成のポイントは、BoxをハブとしてAWSと社内ネットワークを分離した点です。「社内ネットワークを信頼せず、つながない構成にしました。仮にAWSに障害が発生しても、Boxのデータとパソコン、テザリングがあればアナログでも対応できます」と山崎様。サイバー攻撃や災害時を想定したBCP設計が施されています。

1A-4_井村屋グループ株式会社_井村屋グループAI活用へのシフト 7

本プロジェクトにより、毎日2時間かかっていた予測作業がボタン1つ、5秒で完了(90%削減達成)。予測精度は、専任担当者と同等レベルを実現しました。今後は要因シミュレーションなど、変化への素早い対応を可能にする基盤へと進化させていく予定です。

AI活用の今後と展望

山崎様は最後に「AI活用、悩んでいます」と率直に語られました。Box AIZoom AI、自社独自AIのそれぞれが急速に進化し、領域が重なり合う中で、コスト面も踏まえた最適な選択が課題となっています。

今後の活動は以下の3軸で進める方針です。

  1. 生成AIワークショップ: 各ツールの全社浸透を図り、個の能力を高める
  2. 需給管理・AI需要予測: 現場と連携しながら進化させ、変化への対応力を強化
  3. DX推進委員会: 業務の棚卸しを行い、AIエージェントの活用を視野に入れた組織変革を推進

「これまでの活動を活かしながら、さまざまな変化への対応と、独自性のある井村屋ならではのAI活用を目指していきます」という山崎様の言葉が、本セッションを締めくくりました。

井村屋グループ株式会社様のセッションは、2017年のBox導入から始まる約9年間のDXの歩みと、現在進行形のAI活用のリアルを余すところなく伝えるものでした。「AIを使ってすごいことをした話ではなく、AIを活用するための土台づくりのリアル」という姿勢は、同じ課題を抱える多くの企業にとって、大きなヒントとなるのではないでしょうか。

本セッションの全編は、BoxWorks Osaka 2026のサイトでアーカイブ視聴いただけます。(8月3日~8月31日)

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