BoxWorks Tokyo 2026のDay0はオンライン。Boxの新機能紹介やBox活用事例、AIとコンテンツの活用につながる35を超えるセッションが開催されました。
その中から、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 パートナー事業本部 ソリューション アライアンス リード 垂見 周三氏と、Box Japan アライアンス・事業開発部 シニアビジネスディベロップメントマネージャー 高田 智史による対談セッション「データ×AIで拓く日本の未来:Google CloudとBoxが描く『AIエージェント時代』の情報基盤」の内容をお届けします。
Google CloudとBoxが歩んだ20年のパートナーシップ
セッションの冒頭、高田は両社の協業の歴史を振り返りました。BoxとGoogleは2005年から約20年にわたって協業を続けており、Box上でGoogle Workspaceのドキュメント、スプレッドシート、スライドを作成・編集できる環境を提供してきました。
その協業が大きく進化したのが、2020年です。Boxは主要なインフラストレージ基盤としてGoogle Cloudを活用する取り組みを開始し、クラウドコンテンツ管理基盤をGoogle Cloudのスケールと性能を活かしながら提供する体制が整いました。
2023年にはVertex AI(現在のGemini Enterprise Agent Platform)を活用したBox AIの新機能開発、Google Cloud MarketplaceでのBox提供開始、Google Workspaceとの連携強化へと協業領域が拡大。そして2025年には、AIエージェント領域での連携が本格化し、BoxはGoogleのA2A(Agent-to-Agent)の取り組みに初期から参画。「Box Agent for Gemini Enterprise」を通じてGemini EnterpriseとのAIエージェント連携にも取り組んでいます。

こうした協業の進展を踏まえ、2026年にはBox JapanからGoogle Cloud JapanをStrategic Alliance Partner of the Yearとして表彰。垂見氏もその授賞式に登壇しました。
「このように、Google CloudとBoxの連携は、クラウド基盤、AI、Marketplace、そしてAIエージェント連携へと、年々進化しています」(高田)
AIエージェント時代の到来とGemini Enterpriseの戦略
続いて、垂見氏からAIエージェント時代に向けたGoogle Cloudの戦略が語られました。
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 パートナー事業本部 ソリューション アライアンス リード
垂見 周三氏
「これまでのAIは、私たちが問いかければ答えてくれる『チャットボット』や、作業を横で手伝ってくれる『コパイロット』という位置づけでした。しかし2026年、AIは自律的に考え、推論し、ビジネスの成果に対して直接行動を起こす『AIエージェント』へと進化しました」(垂見氏)
このAIエージェント時代において、Google Cloudが提供する中核プラットフォームが「Gemini Enterprise」です。これは単なるAIモデルやAIエージェントの集まりではなく、企業が組織全体で安全かつ大規模にAIエージェントを構築・運用・管理するための「エンタープライズ向け総合AIプラットフォーム」です。
Agent-to-Agent Orchestrationにより、Googleが提供するAIエージェントだけでなく、企業が独自に開発するAIエージェント、そしてBoxのようなテクノロジーパートナーが提供するサードパーティAIエージェントなど、複数の専門エージェントが互いにタスクを委譲し合い、人間が介在することなく複雑なプロジェクトを完遂させる「管制塔」としての役割を果たします。
AIエージェントの構築が容易になった今、企業が直面する課題は「どのように統治(ガバナンス)するか」です。垂見氏はGemini Enterpriseのガバナンス機能として3つのポイントを挙げました。

- エンタープライズグレードの基盤: Google自身を守るものと同じ、業界最高峰の強固なセキュリティとコンプライアンスの上でAIエージェントが稼働します
- 高度なエージェント保護: 複数のAIが連携する時代に対応した「AI専用のガードレール」により、AIエージェントの権限逸脱や不正なアクションを未然に防ぎ、定義されたポリシー内で確実に制御します
- 一括で集中管理されるガバナンス: 社内で「何個のAIが、何をしていて、どこにアクセスしているか」を中央で完全に把握できる、単一の信頼できる情報源を提供します
「この強固なガバナンスこそが、AIを単なる実験から、企業全体への本格的なスケールへと導く鍵となります」(垂見氏)
BoxがAIエージェントに渡す「3Sのコンテキスト」
高田は、AIエージェントが業務で真に価値を発揮するためには、「AIに渡すデータのコンテキスト」が重要であると強調しました。
「AIがどれだけ高度になっても、参照する情報が古い、あるいは権限上見るべきではない情報であれば、正しい判断や業務支援にはつながりません。AIエージェントを安全に統制する基盤と、AIが参照する信頼できるデータとコンテンツ基盤。この両方がそろって、初めて企業でAIを本格活用できます」(高田)
Boxは単なるファイルストレージではなく、「インテリジェントコンテンツ管理プラットフォーム」として、企業コンテンツをAI-Readyな状態に整える役割を担います。
Boxが企業コンテンツをAIに適切に渡せる理由として、高田は「3つのS」を紹介しました。
- セキュリティ(Security): ユーザーやAIエージェントがどの情報にアクセスしてよいのか、アクセス権限を適切に管理する
- ステータス(Status): AIエージェントが作成中の情報を参照してしまうと誤った情報となるため、正式版・承認済みのコンテンツのみアクセスできるよう整備する
- 鮮度(Sendo): AIエージェントが古い情報を参照してしまうと誤った回答や判断につながるため、常に最新で有効な情報を参照できる状態を維持する

「Boxは、この『3Sのコンテキスト』を持ったデータをGemini Enterpriseに渡すことができます。その結果、信頼できる企業コンテンツを起点に、Geminiがインサイト抽出やワークフロー自動化を安全に実現できます」(高田)
垂見氏もGoogle観点からこの連携価値を評価しました。「AIエージェントが業務で価値を出すためには、どのようなデータにアクセスできるか、どのようなコンテンツを参照できるかが重要です。Boxのようなコンテンツ基盤と連携することで、Gemini Enterpriseは企業の信頼できるコンテンツをコンテキストとして活用できます」(垂見氏)
Gemini EnterpriseとBoxの2つの連携方式
そして高田は、Gemini EnterpriseとBoxを繋ぐ2つの連携方式を紹介しました。

連携方式① Googleが提供するデータコネクタ
1つ目は、Gemini Enterprise側にBoxデータストアを構成し、Box上のコンテンツを検索・活用できるようにする方式です。一括取り込み方式(Boxの一定範囲のコンテンツをGemini Enterprise側に取り込んで参照)とオンデマンド検索方式(必要なタイミングでBoxの検索APIを呼び出して参照)の2つのアプローチが提供されています。
連携方式② MCPを利用したAIエージェント連携
2つ目は、Box AgentがGemini Enterprise内のAIエージェントの一員として連携する方式です。Box AgentはMCPを介してBox本体にアクセスし、AIエージェント同士はA2A(Agent-to-Agent)で連携します。これにより、Boxのアクセス権限を継承しながら、Boxコンテンツに対する検索・要約・抽出・生成などのアクションをGemini Enterprise上のワークフローに組み込むことができます。
セッションでは、Box Agent for Gemini Enterprise(プレビュー版)のデモが披露されました。Gemini EnterpriseのAgent GalleryにBox Agentが登録されており、金融機関向けのユースケースとして、EFS金融統計データに関する資料の検索・要約・深掘り質問への回答が実演されました。
「このように、Box Agent for Gemini Enterpriseは、Box上のファイル、フォルダ、Hubsを参照し、検索・要約・メタデータ抽出といった作業をGemini Enterpriseのワークフローに組み込み活用できます」(高田)
また、今年4月のGoogle Cloud Next Las Vegas 2026のKeynoteでは、Box Agentの正式版がGemini Enterprise AppのAgent Galleryに近日提供予定であることが発表されました。
垂見氏はこの展開について次のように述べました。「企業は、Boxがホストする信頼性の高い環境で提供されるAIエージェントを、Gemini Enterpriseの中から直接見つけ、展開できるようになります。ユーザーはGoogle環境から離れることなく、BoxコンテンツをセキュアにAI活用できます」(垂見氏)
Google Cloud Marketplaceを活用したBoxの調達・導入
セッション後半では、BoxをGoogle Cloud Marketplaceから調達・導入できる新たな方法が紹介されました。垂見氏はMarketplace経由でBoxを調達するメリットを5つ挙げました。
- シンプルな調達プロセス: Google Cloudコンソールに統合された環境から、ソリューションを「検索→試行→購入→デプロイ」まで一元管理できます
- 多様なセレクション: AIエージェント、AIモデル、SaaS、API、VMイメージ、コンテナなど幅広いプロダクトを網羅しています
- 柔軟な購入条件: 従量課金、サブスクリプション等、フレキシブルな支払い条件に対応しています
- Cloud契約利用料消化: Google Cloudと既存コミット契約をお持ちのお客様は、Marketplace購入額をコミット契約消化に充当できます
- チャネルフレンドリー: 直接取引はもちろん、信頼できるチャネルパートナーを介した柔軟な取引を選択可能です

「Google Cloud Marketplaceを活用すれば、ガバナンスを保ちながら、必要なテクノロジーを自社インフラへ迅速に、そして安全に導入することが可能になります」(垂見氏)
高田はこの調達方法の意義を次のように総括しました。「BoxをGoogle Cloud Marketplace経由で調達・導入できることは、AI活用を実証実験で終わらせず、実際の業務環境に展開していくための、具体的な選択肢になります」
両社が描く日本の未来へのメッセージ
セッションの締めくくりに、垂見氏はGoogle Cloud Japanのビジョンを語りました。
「私たちGoogle Cloud Japanは、2026年になってひとつのビジョンを掲げました。それは、『AIの力でともに創ろう、ワクワクする日本の未来を。』というものです。このビジョンを実現するため、Google CloudはフルスタックでオープンなAIテクノロジーを提供し、パートナーであるBox、そして日本のお客様と『ともに』創り上げていくことを推進していきます」(垂見氏)
また、7月30日、31日に東京ビッグサイトで開催される「Google Cloud NEXT Tokyo 2026」をご紹介いただきました。BoxもGoogle Cloud NEXT Tokyoに協賛し、会場で最新の取り組みを紹介する予定です。
高田は最後にこう締めくくりました。「Gemini Enterpriseとの連携、A2AによるAIエージェント連携、そしてMarketplaceでの調達。これらは、AIエージェント時代に向けた両社の取り組みの、まだ始まりだと考えています。AIの力で、日本社会をより創造的にワクワクする未来を作る。そのために、Google CloudとBoxは皆さまのAI活用を支援していきます」
本セッションの全編は、BoxWorks Tokyo 2026のサイトでアーカイブ視聴いただけます。(6月24日~7月31日)
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