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ロサンゼルス市CIOに聞く、行政サービス改革とAI活用の現実

BoxWorks Tokyo 2026 公共セッション イベントレポート

 公開日:2026.06.23  Box Japan

BoxWorks Tokyo 2026では公共機関のお客様を対象とした公共トラックを開催し、小規模自治体から大規模自治体、海外までBoxの活用事例をご紹介する7つの多彩なセッションを実施しました。

その中からオープニングを飾った「U.S.だってチャレンジ中 - ロサンゼルス市CIOに聞く、行政サービス改革とAI活用の現実」をピックアップして、講演内容をお伝えします。BoxのVice President ムルタザ・マスード(Murtaza Masood)が進行を務め、ロサンゼルス市職員退職年金制度(Los Angeles City Employees' Retirement System、以下LACERS)のCIO ヴィクラム・ヤダブ(Vikram Yadav)氏がゲストとして映像出演。約5万人の退職者を支える公共機関が、いかにしてBoxを活用してデジタル変革を推進しているのか、その実践的な取り組みを語っていただきました。

世界の行政が迎える「AIファースト」の転換点

セッションは、BoxのVice President ムルタザ・マスード(Murtaza Masood)による公共領域における業務改革のトレンドの紹介から始まりました。

3C4A4963Box  Vice President ムルタザ・マスード(Murtaza Masood)

世界中の政府・自治体は今、AIを中心に据えた行政改革の真っただ中にあります。「住民サービスの高度化」「職員の生産性向上」そして「明確なROIを見据えたAI投資」。この三つの潮流が、デジタル変革を力強く後押ししています。

住民サービスの面では、モバイルやWebを通じたスムーズなアクセスが当たり前になりつつあります。「どこかに行かなければサービスを受けられない時代は終わりました。どこからでも住民が求めるサービスに行き着くことができる、それをスムーズに実現できるようになっています」と、ムルタザは語ります。

職員の働き方も大きく変わりました。手作業が自動化され、正確な情報への迅速なアクセスが可能になったことで、職員はより本質的な業務に集中できるようになりました。「手作業での繰り返しの作業ではなく、ナレッジワークに集中することができます」というムルタザの言葉が、その変化を端的に表しています。

LA CIO 1
Boxはすでに世界1万以上の政府機関から信頼をいただいており、ロサンゼルス郡の人事オンボーディング自動化やロサンゼルス市のWebサイトへのAIエージェント統合といった具体的な変革を支えています。AIベースのエージェントとワークフローを通じ、行政の業務はさらなる進化を遂げようとしています。

LACERSが直面していた課題: 紙中心の業務とレガシーシステムの壁

ムルタザに続いて映像出演いただいたのは、LACERSのCIO ヴィクラム・ヤダブ(Vikram Yadav)氏。Boxを活用したデジタル変革についてお話しいただきました。

LA CIOロサンゼルス市職員退職年金制度(Los Angeles City Employees' Retirement System) CIO
ヴィクラム・ヤダブ(Vikram Yadav)氏

ロサンゼルス市は、公益事業職員向け、警察消防向け、一般行政職員向けの3つの年金制度を運営しており、LACERSはそのうち一般行政職員(民間職員)を対象に、約5万人の退職者への年金給付・健康保険給付を担っています。毎月、現役職員の退職手続きを処理しながら、退職者への継続的な給付を支えるという、非常に重要な役割を果たしています。

ヴィクラム氏がCIOとして着任した当時、LACERSは多くの公共機関と同様に、紙中心の業務プロセスとレガシーシステムへの依存という課題を抱えていました。

民間で起きている変化に、少し遅れて追いつこうとしているというのが、正直なところでした」と、ヴィクラム氏は当時を振り返ります。政府機関では、幹部の任期が短く長期的な投資判断が難しいこと、新技術を導入しても組織や業務プロセスの再編に長い時間を要すること、そして紙中心の業務や古いシステムが変革の足かせになることが、モダナイゼーションを阻む構造的な要因となっていました。

業務監査を通じて明らかになった課題は多岐にわたりました。SharePointへの過度な依存、情報のサイロ化、非効率なプロセス、知識の属人化、標準化の欠如、処理スピードの遅さ、そしてセキュリティリスク。これらすべての根本にあったのが、文書管理システムの老朽化でした。

「最重要課題は文書管理システムでした。文書を中心とした基盤こそが、LACERSを支える原動力になると確信しました」(ヴィクラム氏)

LA CIO 2

Box導入の決め手: 統合プラットフォームとしての価値

調達の仕組みそのものを見直す

LACERSが直面していたもう一つの課題は、公共領域における調達の構造的な問題でした。従来の政府調達では「最安値重視」が原則となりがちで、結果として複数のシステムが個別導入され、総コストが高くなるという悪循環に陥っていました。

ヴィクラム氏はこの調達の仕組みそのものを見直し、業務要件に合わせた選定と統合された一つのプラットフォームの実現を目指しました。

電子署名・文書共有・セキュリティという3つの機能を、一つのプラットフォームで実現できるベンダーを探しました。競合他社のマジック・クアドラントを精査し、各社の5年間のロードマップを比較検討した結果、私たちのニーズに応えられるのはBoxだけでした」(ヴィクラム氏)

Boxを選んだ理由

LACERSがBoxを選んだ決め手は、Box FormsBox Doc GenBox Automateいった機能群が、単一プラットフォームとして統合されていた点です。複数のアプリケーションを個別に調達・設定する必要がなく、フォームの簡素化・統合ワークフロー自動化オンライン申請手続きをシームレスに実現できることが、大きな魅力でした。

LA CIO 3

LACERSでは現在、オンライン退職申請ポータルをBox上で稼働させており、ワークフローと連携した申請処理を実現しています。さらに、重複していたフォームを整理・統合し、Box FormsBox Doc GenBox Automateを組み合わせた新しい業務フローへの移行を進めています。


Box AIとBox Hubsがもたらす業務変革: 知識の民主化と人材育成

80年分の法的見解をAIで活用

LACERSにおけるAI活用の最大の成果は、職員の知識レベルの底上げです。年金給付業務は、外部規制、内部ポリシー、個別の事情(疾病、死亡、離婚、複数の受給権者など)が複雑に絡み合う、非常に専門性の高い領域です。

知識が特定の個人に属人化してしまい、その人が異動・退職すると知識も失われてしまうという問題が長年続いていました」と、ヴィクラム氏は振り返ります。

この課題を解決したのが、Box AIBox Hubsの組み合わせです。LACERSでは、過去80年分の弁護士による法的見解をBoxに集約し、Box AIを活用することで、どの職員でも必要な法的根拠を即座に検索・参照できる環境を整備しました。

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新入職員のオンボーディング期間を、従来の6ヶ月から1〜2ヶ月に短縮することができました。Box HubsとBox AIを活用することで、全ての知識がQ&A形式で誰でもアクセスできるようになったからです」(ヴィクラム氏)

ポリシー管理の自動化と鮮度維持

さらに、Box AIポリシー・手順書の鮮度管理にも活用されています。行政コードの改正に合わせてポリシーが適切に更新されているかを追跡し、期限切れの手順書には自動的にリテンションポリシーを設定してワークフローに流すことで、常に最新の情報が維持される仕組みを構築しています。


今後の展望: 業務プロセスの再設計と民間水準のサービス提供へ

Boxの導入を通じて、LACERSは単なるシステム刷新にとどまらず、組織そのものの再設計に着手しています。

Boxを導入したことで、私たちは今、チームの構成そのものを見直すことができています。理想的なワークフローを中心に組織を再編し、民間のメンバーサービスに近い水準を目指しています。かつては『電話をかけると別の担当者に回され、また別の担当者に回される』という状況でしたが、今では一か所ですべてに対応できるようになりました」(ヴィクラム氏)

最後に、ヴィクラム氏は他の公共機関のCIOへ向けてこのようなメッセージを送りました。

まず業務のユースケースを理解し、そのユースケースを支えるテクノロジーパートナーを選ぶことが重要です。そして、そのパートナーのロードマップが自分たちの長期的なニーズに応えられるかを、必ず確認してください。私たちはBoxを最初、単純に文書の保管場所として使い始めました。しかし、Boxが進化するにつれて、私たちの業務プロセスもBoxを中心に再構築できるようになりました。ユースケースと業務オペレーションを起点に、テクノロジーパートナーを選ぶ — これが私の最大の学びです」

公共機関特有の制約を乗り越えながら、Boxを活用してデジタル変革

BoxWorks Tokyo 2026の公共トラックのオープニングセッションでは、LACERSのヴィクラム氏が、公共機関特有の制約を乗り越えながらBoxを活用してデジタル変革を推進する実践的な取り組みを共有してくださいました。

文書管理の一元化から始まり、電子署名、ワークフロー自動化、Box AI、Box Hubsを組み合わせることで、知識の民主化・業務効率化・組織変革を同時に実現しているLACERSの事例は、日本の公共機関にとっても多くの示唆を与えるものです。

「Content + AI ~ From Content to Context ~」というテーマが示すように、コンテンツをただ管理するだけでなく、AIによってコンテキストを持った知識として活用する — その実践例を力強く示してくれました。

本セッションの全編は、BoxWorks Tokyo 2026のサイトでアーカイブ視聴いただけます。(6月24日~7月31日)


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