2026年6月4日〜5日の2日間にわたり開催いたしました「BoxWorks Tokyo 2026」では、関西電力様、沖縄電力様、北海道電力様の電力会社3社様にご登壇いただきました。
日本のライフラインを支える電力会社が、いまBoxを起点にDXとAI活用を加速させています。脱炭素化や人口減少、労働力不足といった業界共通の課題に直面する中、各社はコンテンツ管理の高度化から技術伝承、グループ全体の業務変革まで、Boxを基盤とした多彩な取り組みを推進しています。
関西電力様: Boxを最大限活用してAIの参照情報を整理・統制、AI活用を支えるデータ基盤へ
「電力インフラを支えるデジタルの力 ― 関西電力が挑むDX実践 ―」と題したセッションでは、関西電力株式会社 IT戦略室 業務改革推進グループ チーフマネジャー 梅本 潤様が登壇。電力業界を取り巻く環境変化を踏まえたDX推進やAI活用の取り組みについて紹介いただきました。
関西電力株式会社 IT戦略室 業務改革推進グループ チーフマネジャー 梅本 潤様
セッションの冒頭では、電力業界が直面する「5D」が紹介されました。脱炭素化(Decarbonization)、分散化(Decentralization)、自由化(Deregulation)、人口減少(Depopulation)、デジタル化(Digitalization)の5つの変化です。梅本様は、これらの変化、とりわけ脱炭素化・分散化・自由化とデジタル化の組み合わせが、エネルギー事業の在り方や営業活動に大きな影響を与えていると説明しました。また、ベテラン社員の退職や若手人材の減少により、知識やノウハウの継承が業界共通の課題となっていることも指摘しました。
こうした環境変化に対応するため、関西電力様ではAI活用を積極的に推進しています。発電所ではAI点検ロボットによる設備監視を開始しているほか、火力部門では過去のトラブル事例や技術文書を参照しながら対応策を提案したり、法令情報や社内情報をもとに工事に必要な届け出や関連法令を提示したり、社内ヘルプデスク業務を効率化したりする生成AIソリューションを開発。経営の意思決定を支援するAIエージェントも構築し、リスク評価や議論の活性化、経営層との壁打ちなどに活用することで、意思決定の質とスピード向上を目指しています。
さらに、こうした取り組みと並行してAI時代に求められる「ヒトの役割」として「問いを立てる」「意味づけをする」「決断する」「結果責任を負う」を定義し、人とAIのあるべき関係について社内理解を深めています。

このようにAI活用を進めるうえで、梅本様はコンテンツ管理の重要性が一層高まっていると語ります。関西電力様ではBoxをメインストレージとして社内外の情報共有に活用しており、横断検索ツール「Glean」と連携してBox内外のデータを横断して検索・AI活用が可能な環境を構築済みです。しかし、「古い資料や途中版のデータをAIが参照してしまうリスクもある」ため、今後は、Boxの機能を最大限活用してAIの参照情報を整理・統制し、AI活用を支えるデータ基盤へと発展させていく考えです。

最後に梅本様は、関西電力が掲げる「AIファースト企業」の実現に向けた取り組みについて言及しました。「経営層が積極的に挑戦を後押ししていることが大きい」と述べたうえで、変革を進めるためには、全社的に挑戦を促す組織風土が欠かせないと指摘します。電力会社として綿密な計画は必要である一方、実践できる領域では「まずやってみて、失敗から学ぶことが大切」と語り、小さな挑戦を積み重ねる風土の重要性を強調しました。
沖縄電力様: Boxを基盤に“情報の壁”を越え、グループ全体の業務変革を目指す
2025年1月にBoxの採用を決定した沖縄電力株式会社様。「つくる・つなげる・とどける。沖縄電力のサプライチェーンを支えるDX基盤」と題したセッションでは、Boxを活用して働き方をどう進化させているのか、そのリアルな取り組みやユースケースが語られました。
沖縄電力株式会社 DX推進事務局長 仲間 博文様
沖縄本島を含む38の有人離島へ電力を供給する沖縄電力様は、発電・送配電・小売を一体で担う電力会社です。離島を含む広いエリアへ安定して電力を届けるためには、社内各部門はもちろん、グループ会社や協力会社との円滑な情報共有やコラボレーションが欠かせません。沖縄電力様では、こうした業務をさらに進化させるため、Boxを活用したさまざまな取り組みを進めています。
沖縄電力様で当初Boxを導入したのは、社内外のコラボレーションにおいて、メール中心の情報共有による即時性の不足やデータ検索の難しさ、厳格なアクセス管理と柔軟な情報共有の両立といった課題を解決するためでした。DX推進事務局長 仲間 博文様は「Boxは単なるクラウド上のデータ置き場ではありません。特に、Box AIの登場以降は、コンテンツとAIを組み合わせることで、情報活用の可能性が大きく広がりました」と語ります。
沖縄電力様における特徴的なユースケースとして挙げられるのが、災害対応時の情報共有です。台風などの災害発生時には、現場・本部・関係会社がBox Notes上で最新状況や写真・動画をリアルタイムに共有し、迅速な対応を実現しています。また、日常の会議でも事前の資料共有や議事録作成の効率化にBox Notesを活用しています。

さらにBox Hubsを使って社内規程やマニュアルなどを集約したポータルサイト(Hub)の構築が各部門で進んでおり、従業員はBox AIを通じて必要な情報を迅速に検索できるようになっています。株主総会やイベント対応時には各部門のナレッジをHubに集約し、問い合わせ対応の効率化にも活用しています。
このように沖縄電力様では、Boxを活用して個人ナレッジを組織ナレッジへと変える取り組みを推進。これまで紙や共有サーバーに埋もれていた情報がBoxに集約され、Box AIを通じて活用できる環境が整いました。仲間様は「Boxの満足度は120点」と評価。さらに今後はBox AIの一層の進化や、業務フロー全体への活用拡大にも期待を寄せています。
セッション後半では、同社デジタルイノベーション推進部 企画開発グループ(主任)宮城 久俊様が登場。グループ会社全体へのBox活用推進を担う中心メンバーである有限会社キューテック 代表取締役 稲田 浩二様、沖電グローバルシステムズ株式会社 ビジネスソリューション事業部 ビジネスソリューショングループ 主任 兼 DX推進チームメンバー 横田 翔様を紹介しました。
左から、沖縄電力株式会社 経営戦略本部 デジタルイノベーション推進部 企画開発グループ(主任) 宮城 久俊様
有限会社キューテック 代表取締役 稲田 浩二様
沖電グローバルシステムズ株式会社 ビジネスソリューション事業部 ビジネスソリューショングループ
主任 兼 DX推進チームメンバー 横田 翔様
キューテックの稲田様は、紙ベースの承認業務や図面管理をBoxでデジタル化することで、業務効率化や人的ミスの削減につながった事例を解説。

沖電グローバルシステムズの横田様は、Box HubsとBox AIを活用した社内規程・マニュアルの検索環境整備やナレッジ活用の取り組みを紹介しました。
グループ全体での活用推進に向けては、「成功事例を作りながら各社・各部署へ丁寧に説明することが重要」だと稲田様。また、単なるツール導入にとどまらず、業務プロセスそのものを見直しながら活用を進めることを重視しています。こうした取り組みを通じて、沖縄電力やグループ会社、協力会社がサプライチェーンとしてより密接につながる環境の実現を確信していると締めくくりました。
北海道電力様: 文書管理サイクルをBoxで刷新! Box AIで労働力不足緩和と技術伝承を推進
「情報の『宇宙』へ ~ 紙文書の電子化から、Box AIを活用した労働力不足緩和・技術伝承へ ~」と題したセッションでは、北海道電力株式会社 副主幹 水戸 悠策様が登壇。少子高齢化やベテラン社員の退職による労働力不足、技術継承といった課題に対し、Boxを活用したデジタル基盤整備とAI活用に向けた取り組みについて紹介しました。
北海道電力株式会社 副主幹 水戸 悠策様
セッションではまず、水戸様がBox導入前から現在までの取り組みを振り返りました。北海道電力様では紙文書中心の管理により書庫のひっ迫や検索・配架の非効率、紛失リスクといった課題を抱えており、これらの解消に向けてコストと業務効率の観点から文書の電子化を決断し、その保存先としてBoxを導入しました。Boxの採用理由としては、容量無制限のストレージや強固なセキュリティ、強力な検索機能、外部連携の豊富さを挙げ、「導入して良かった」と言及。さらに、継続的な機能強化やAI機能の進化についても、そのスピード感を評価しました。

続いて水戸様は、AI活用による抜本的な業務変革を「宇宙」に例えて説明を開始。労働力不足が深刻化する中で業務の非効率性や属人化を「重力」と表現したうえで、「2030年問題を乗り越えるには、地球を飛び出して無重力になるくらいの変革が必要」と語り、現在直面する課題として「時間的貧困」と「暗黙知」の2点を挙げました。
「時間的貧困」とは、日々の業務に追われる中で改善に充てる時間や人員を確保できない状態を指します。例として文書管理プロセスに焦点を置くと、 特に文書検索に多くの時間が割かれている点が課題となっており、検索対象が明確な場合はBoxの検索機能やメタデータを活用し、曖昧な場合にはBox AIによる自然言語検索を用いることで、検索負荷の軽減を図っていると説明しました。
「暗黙知」は、ベテラン社員の経験や勘が個人に蓄積され、組織として十分に継承できないという課題です。形式知化の必要性は認識されているものの、プライバシーへの配慮や未確定情報の扱いといった課題もあり、容易には解決できないテーマだと述べました。
こうした課題に対し、Box Japan Box Consulting サービスデリバリー2部 部長の上田 隆俊は、暗黙知の継承には「認知」「構造化」「循環」という3つの壁があると説明しました。そして「認知の限界」は、写真・動画・音声・手書きメモなどをBoxに蓄積することで経験や気づきを多様な形で残せること、「構造化の限界」はBox AIやBox Doc Genにより蓄積情報をナレッジとして整理・文書化できること、「循環の限界」はBox Hubsやメタデータ機能、Box Automateを活用して情報の整理・更新・活用を継続的に回せることを示しました。

水戸様は最後に、将来的なAI活用に向けた現在のBox活用の取り組みを「ロケット」(Boxを中心とした文書管理プロセス)、「燃料」(AIが活用するデータ)、「乗組員」(AIを使いこなす社員)に例えて紹介。Boxに自然にデータが蓄積される仕組みづくりを進めるとともに、ハンズオン研修などを通じて社員のAI活用スキル向上にも取り組んでいることを説明しました。また、DX推進には自身の経験を踏まえ、「現状の可視化」「ボトルネックの特定」「シンプルな仕組みによる課題解決」の3つのステップが重要だと語りました。

本セッションでは、電力業界の働き方・組織変革の実践が紹介され、Boxを基盤としたコンテンツ環境とBox AIの活用を通じて、現場での変革が進んでいることが示されました。
各セッションの全編は、BoxWorks Tokyo 2026のサイトでアーカイブ視聴いただけます。(6月24日~7月31日)
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