BoxWorks Tokyo 2026では金融機関のお客様を対象とした金融トラックを開催し、金融機関におけるBoxの活用事例をご紹介する7つの多彩なセッションを実施しました。
金融機関が直面する「データのサイロ化」「AI活用基盤の整備」「厳格なガバナンスとの両立」。これらの共通課題に、先進企業はどう立ち向かっているのか?朝日生命保険相互会社様、住信SBIネット銀行株式会社様、三菱UFJ信託銀行株式会社様、農林中央金庫様の4社がセッションから、Boxを「AI ReadyなSingle Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)」として活用し、業務効率化とセキュアなAI活用を同時に実現した最前線の取り組みをレポートします。
守りから攻めへ。Box導入の実践とAI活用の未来 - 朝日生命様 & 住信SBIネット銀行様
はじめにご紹介するのは、朝日生命保険相互会社様(以下、朝日生命様)と住信SBIネット銀行株式会社様(以下、住信SBIネット銀行様)の同時登壇セッション。ファイルサーバーからAI基盤へと、両社が歩んだBox移行のリアルを語っていただきました。
朝日生命様
部署用・個人用のファイルサーバーの容量制限が限界に達しており、定期的な不要ファイルの削除指示(棚卸し)が業務の大きな負担となっていました。また、SharePointやServiceNowなどにファイルの保存場所が分散しており、必要なファイルを探すのに苦労していたほか、将来的なAI活用において参照先が限定されてしまう懸念がありました。
朝日生命保険相互会社 デジタル戦略企画部 シニアアソシエイト 鎌谷 勇佑様
朝日生命様は、容量無制限というBoxの強みを活かし、ファイルサーバーやSharePointのデータをBoxへ集約しました。さらに、スマートフォンで領収書などを撮影して直接Boxに保存できる「Box Mobileアプリ」を活用して、従来4ステップ(撮影→PCメール送信→サーバー保存→申請)かかっていた作業を2ステップ(撮影と同時にBoxへ保存→申請)へと簡略化しました。また、部署限定のマニュアルや案件資料をまとめたAI検索・ナレッジ共有基盤として「Box Hubs」を展開しています。
また、AI活用基盤(Microsoft 365 Copilotなど)が、Box内のファイルを直接参照・要約・検索できるようになり、AI活用の利便性が向上しました。スマートフォンからのファイル参照・編集による操作性の向上や、Box Hubsの活用による新入社員・異動者の早期業務理解の効率化も期待されています。
朝日生命様は今後、オンプレミスサーバーや他サービスに残るデータをBoxへ完全移行し、維持コストを削減していく予定です。また、ServiceNowで添付したファイルを自動でBoxに移行し、ServiceNow側にはBoxの共有リンクのみを残すAPI連携の構築や、Box AIやMicrosoft 365 Copilotとの連携を深めた高度なAI活用を全社展開していく方針です。
住信SBIネット銀行様
オンプレミスサーバーの保守期限切れを機に移行を検討していました。利用集中時にオンプレミスサーバーが15分ほど応答停止し、約1,000人の業務がストップする障害への対応や、複雑化・ブラックボックス化したアクセス権限の整理やランサムウェア対策も急務となっていました。
住信SBIネット銀行株式会社 システム運営部 部長 佐藤 武様
住信SBIネット銀行様は、オンプレミスからBoxへの切り替えを順次実施しました。複雑だった権限を「部門全員アクセス」と「部長のみアクセス(配下は部長が管理)」の2パターン(ウォーターフォール型)に整理。さらに、PCローカルにデータを残さないセキュリティ方針に基づき、エクスプローラー(Box Drive)の利用を制限し、Webブラウザ利用に限定する徹底した運用を行っています。

Boxへの移行により、障害による業務停止(15分間)に伴う損失コストを削減し、オンプレミスサーバーの拡張・維持コストも抑制されました。さらに、エクスプローラー操作ミスによるフォルダ誤移動(アクセス不能障害)が根本的に排除され、ランサムウェアに対する強固なセキュリティも確保されました。
住信SBIネット銀行様は、Boxを社内ツールの中核に位置づけ、GPTやClaude、Geminiなどの各種AIツールとBoxを自律的に連携させ、資料作成や分析の自動化を追求していく予定です。そして、900万人の顧客や取引先企業とのデータ授受にBoxを活用する構想を描いています。
暗黙知を"知の資産"へ。Box全社展開とAIネイティブ基盤への挑戦 ー 三菱UFJ信託銀行様
三菱UFJ信託銀行株式会社様(以下、三菱UFJ信託銀行様)では、コロナ禍以降、リモートワークの推進や電子サイン、BCP対策など部分最適なツールの導入が進んだ結果、非構造化データが爆発的に増加し、データがバラバラに散在する「データのサイロ化」が発生していました。
また、従来の仮想デスクトップ環境(VDI)では端末の起動速度や処理速度の低下、新しいクラウドサービスの柔軟な導入が困難という課題を抱えていました。AIファーストの時代において、これらの非構造化データをどう全体最適化し、安全かつ効率的に活用していくかが急務となっていました。
三菱UFJ信託銀行株式会社 デジタル戦略部 DX統括推進室 基盤・運用企画グループ 課長 三宅 浩亮様
三菱UFJ信託銀行様は、Microsoft 365とBoxを用途に応じて組み合わせる「ハイブリッドモデル」をグランドデザインとして策定しました。コミュニケーションやPower Platformなどのアプリ連携はMicrosoft 365を活用。容量に縛られず、アクセス権限がシンプルなBoxをコンテンツの格納先として統合します。ユーザーはBox Driveを介してエクスプローラーからシームレスに両環境のファイルにアクセスできるため、保存先を意識せず利用することができます。
セキュリティ面では、ファイルに「取扱注意情報(ピンク)」や「社外共有可否確認(紫)」などの分類ラベルを付与して、Box Shieldにより動的な外部共有統制を強化。管理者が中身を確認して「社外共有可(緑)」に分類ラベルを貼り替えることで初めて共有可能になる承認ワークフローをSalesforceで構築しました。
三菱UFJ信託銀行株式会社 デジタル戦略部 DX統括推進室 基盤・運用企画グループ 上級調査役 髙谷 祐介様
容量上限を意識せず、セキュアなコンテンツ基盤を確保したことで、毎年1.7倍に増大するデータ量とコストの課題をクリア。Box Shieldによる強固なセキュリティ統制により、金融機関に求められる厳格なガバナンスと利便性の両立を実現しました。
2026年6月より段階的に全社へBoxアカウントを配布し、2027年4月から本格的なファイルサーバー移行に着手する予定です。将来的には、Box Agentを導入してBox内のコンテンツに対する高度な検索・分析・要約を可能にし、AIを労働力として組み込んだ次世代データ基盤の完成を目指します。

三菱UFJ信託銀行様のBox活用事例の詳細は、「三菱UFJ信託銀行様ご登壇 ~ 現場の暗黙知をAI時代のナレッジ資産に変える」(BoxWorks Tokyo 2026 Day0 Finance Executive Session イベントレポート)でもご覧いただけます。
"Boxを探せば何でも見つかる"。コンテンツ集約戦略とAI活用の最前線 ー 農林中央金庫様
農林中央金庫様およびそのグループ会社(約7,000名規模)では、CRM・経費精算・電子契約などにデータが散在し、「何が最新の正本か」を判断できないデータ信頼性の低さが課題でした。
社内照会業務でも「担当者に聞く方が早い」状況が常態化し、対応負担が増大していました。また、日常的な社内業務における「問い合わせ対応(照会業務)」の負担も深刻でした。質問側は「マニュアルを探すより、担当者に直接聞いた方が早い」と考え、回答側は「マニュアルに既に書いてあるのに、また同じ質問が来た」と頭を抱えるといった、時間と手間のロスが常態化していました。
農林中央金庫様は、これらの課題を解決し、人とAIが共存して自律的にナレッジが循環する仕組みづくりを目指しました。
農林中央金庫 ビジネス共創部 Boxチームリーダー 千田 夏皓様
農林中央金庫様は、「データの正本はBox、業務プロセスの正本はServiceNow、組織ナレッジの正本はAI」という3要素を組み合わせた「AI Readyなコンテンツ基盤」をグランドデザインとして定義しました。
具体的には、約90項目のチェックリストを目視突合していた外部委託契約のチェックを、Boxカスタムエージェントによる1次チェック自動化で代替。あわせて、Box HubsやBox AI Homeへの自然言語の質問に横断検索で自動回答し、未解決分はServiceNowへ自動起票・担当部署へ振り分け、対応後はBox AIエージェントがFAQ形式に匿名化・要約して、人の承認を経てナレッジへ再蓄積する、自律的な照会循環ワークフローを構築しました。

契約書チェック業務においては、従来年間2,400時間を要していた目視による確認作業が、AIによる1次チェックの導入によって約300時間へと劇的に削減される試算となり、約87.5%の業務効率化という圧倒的な定量効果を見込んでいます。また、AIヘルプデスクの構築とナレッジの自己増殖サイクルにより、職員は自己解決が容易になり、バックオフィス部門の照会対応負担が大幅に軽減されるという定性・定量双方の成果が現れています。
農林中央金庫 ビジネス共創部 生成AIチームリーダー 羽賀 崇裕様
農林中央金庫様は、外部コラボレーションの効率化からServiceNow連携、Microsoft TeamsのストレージのBoxへの切り替え、ファイルサーバーの移行まで、これまで3〜4年をかけて段階的かつ着実にBoxの活用領域を拡大してきました。今後は、ポータル領域(SharePoint)に残されている「ラストワンマイル」のコンテンツもBoxへ完全集約し、真の「Single Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)」を完成させる予定です。
さらに、新機能である「Box Automate」を本格活用し、ワークフローの中にAIエージェントのアクションを直接組み込むことで、さらなる業務プロセスの自動化と高度化を追求していく予定です。
単なる「ファイルの置き場」から「AI ReadyなSingle Source of Truth」へ
金融機関のお客様を対象とした金融トラックでは、単なる「ファイルの置き場」としてのクラウドストレージ利用を超え、Boxを「AI ReadyなSingle Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)」として位置づけ、業務プロセスやAIエージェントと高度に融合させる先進事例を次々と紹介いただきました。
厳格なガバナンスとセキュリティが求められる金融業界だからこそ、アクセス権がきめ細やかで堅牢なBoxにコンテンツを集約し、AIを安全に活用するアプローチが極めて有効です。皆さまの会社でも、今回ご紹介した各社の活用事例を参考に、コンテンツを「コンテキスト」へと昇華させる次世代の働き方に取り組んでみてはいかがでしょうか。
本セッションのより詳細な情報や導入プロセスについてご興味がございましたら、Box Japanの営業担当者またはこちらまでお気軽にお問い合わせください。
ご紹介したセッションの全編は、BoxWorks Tokyo 2026のサイトでアーカイブ視聴いただけます。(一部除く、6月24日~7月31日)
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